68.貴族? いらない
魔族をぶっ倒した、翌日。
俺の居候先である、魔女マーキュリーさんのお店、彗星工房にて。
「プリシラ、久しぶりだなぁ」
「お久しぶりです、リーフさん」
プリシラ=フォン=グラハム。
たしかグラハム公爵の娘さんだ。
前に俺がこの王都へ来る前に、助けたことがある。母ちゃんが病気にかかっていて、俺の薬で治したことがかつてあった。
で、プリシラに顔が似ているべっぴんさんが、ニコニコしながら俺を見ている。
プリシラの母ちゃん、ディアンヌさんだ。
「こんにちは、リーフちゃん♡」
ディアンヌさんはずっとにこにこーってしてる。
プリシラも美人だけど、この母ちゃんもすんごい美人だね。あとおっぱいおっきい。
「今日はどうしたんですか?」
「リーフさんの様子を見にきたのと、打診があってまいりました」
「打診……?」
なんだろう。隣に座っているマーキュリーさんを見て首をかしげる。
彼女も心当たりがないのか、同様に首をかしげていた。
「実はリーフさんに、貴族にならないかという話がきているのです」
「な、なんですって……!? 貴族……この子が!?」
マーキュリーさんが眼鏡をずりさげながら、立ち上がって叫ぶ。
貴族……ああ、オロカンのことか。あいつにドクオーナを取られてから、貴族ってイメージ悪いんだよな。てゆーか、はっきりいって嫌いだ。
「どうしてそんな急に?」
するとディアンヌさんがゆっくりと口を開いて説明する。
「リーフちゃんはこないだ、わたしの病気を治してくれたでしょう?」
ここに来たばかりの頃。プリシラの母ちゃんが不治の病で困っているっていうんで、俺が薬を投与して治してあげた。
まあ結局そんなにたいした病気じゃなくて、良かったんだけども。
「そこにくわえて、ヴォツラーク領の動乱を収めたこと。そして、このたびの王都襲撃から守ってくれた功績をたたえて……リーフちゃんに、貴族の位を与えてはどうかと思ってね」
「な、なるほど……たしかに、リーフ君いろいろやらかしてるけど、功績もすごいものね……」
マーキュリーさんが少しばかり納得したようにうなずく。
「どうするの、リーフ君」
「もちろん、受けてくださいますよね?」
マーキュリーさんとプリシラの注目が俺に集まる。
けど……俺の答えは決まっていた。
「え、いらない」
「「なっ!? 要らないぃ!?」」
驚く二人。ええ……そんな驚くことだろうか。
「別に、俺は貴族になりたくて助けたんじゃないし」
だから褒美とか功績とか言われても、興味なかったしね。
「で、でも……! リーフさんのしたことって、本当にすごいことなんですよ! 評価されるべきことなんです!」
「いやいや、別に評価されたいわけじゃないから」
プリシラの母ちゃんを助けたのも、ヴォツラーク領のピンチを救ってきたのも、困ってる人をほっとけなかったからにすぎないしな。
ディアンヌさんが感心したようにうなずく。
「さすがリーフちゃんね。自分のなしたことを、決して偉ぶらない。本当に素晴らしい子」
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