表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/257

67.魔族だろうとワンパン



 王都に帰ってきた俺の前に現れたのは、魔族とかいう変な輩。

 呪いでギルメンのみんなを苦しめた……悪党である。ふざけるな。許さないぞ!


「ふぇ、ふぇっふぇっふぇ……」


 場所は王都の城壁の外。

 目の前にはフードをかぶった、大きな狼が二足歩行で立っている。


 魔貴族のひとり、男爵級のウルフとかいうやつだ。


「わ、わが呪いを解いたくらいでいい気になるなよ小僧ぅ……わしはまだ、本気を出しておらぬのだからなぁ……!」

「え、なんで敵を前にして本気出さないの? 馬鹿なの?」

「ぐぅ……! こ、この……ま、まあいい。今から貴様ら人間を、このわしが皆殺しにしてやるぅ!」


 ぱん、とウルフが柏手を打つ。


「いでよ、我が最強の影の軍勢……!」


 しーん……。


 え、と。どこ?


「どうだ見覚えがあるだろう?」

「あの……」

「そう! この影の狼たちはわしが生み出してるのだ!」

「ちょっと」

「このわしがいるかぎり無尽蔵に影の化け物達が」

「えっと」

「なんだよ!? わしが今せっかく気持ちよく語ってるのに……!」


 こいつの都合なんてどうでもいいんだけど、気になったので聞いてみる。


「どこ、影の軍勢」

「はぁ? 見てわからぬのか! この周りにいる無数の……無数の……むす……」


 ウルフが周囲を見渡して困惑している。

 出しているはずの影狼がいなくて、小首をかしげていた。


「ふぇえ……わしの影狼たちはぁ~……?」

「いや、知らないんだけど。聞いてるのこっちなんだけど」


 ウルフがパンパンと柏手を打つ。だが全然影の軍勢とやらは出てくる気配が無い。


「なぜだ!? 呪術が発動しない!?」


 不思議に思ってか、マーキュリーさんが地面に目を向ける。


「! リーフ君、あなたさっき魔除けのお香を固めた丸薬を投げつけたわよね?」

「あ、はい。ついさっき。それがどうしました?」

「その結果……この周辺、破魔の結界が展開してるわ」

「はま? 結界?」


 そんなもの作った覚えが無いし、聞き覚えが無い。


「ば、ば、馬鹿なぁ……!? 破魔の結界だと!? それはうしなわれし古代魔法の一つじゃ無いか!? いつの間に!?」


いや、それこっちのセリフなんだけども。

 するとエイリーンさんが不思議そうに首をかしげる。


「あれ、リーフ様は昔から破魔の結界を展開なさってましたよね?」

「いやそんなの知らないですけど」

「ほら、奈落の森(アビス・ウッド)にお香を焚いて、魔物が来ないように囲っていたでしょう?」

「ああ、それはしてましたけど」

「それが、破魔の結界です」

「ええ!? そうだったんですか!?」


 知らずにやってたや……。

 タイちゃんが感心したようにうなずきながら言う。


『つまり主はうしなわれし結界術を、無意識に発動させていたと言うことか。さすが主だ』

「ふぇぇえ……しゅごいのぉお……」


 ウルフが気色の悪い声を出す。

 

「破魔の結界は、あらゆる邪気を払うとされている。呪術が発動しないのは当然ね。呪いの力すらも払うんだから」

「ぐ、ぐそおぉ! こうなったら……うぉおおおおおおおおおお!」


 ウルフが自分の体を抱く。すると、やつの体からしゅぅうう……と黒い靄があふれ出てきた。


「まずい!あの魔族、呪術を自分にかけてる! 呪いを体に宿すことで、絶大な力を手に入れる反面、バーサーカーのように襲ってくるわ!」


 マーキュリーさんからの解説の通り、やつは呪いを自分にかけたことで、体がどんどんと大きく、フォルムも凶悪になっていく。


「ぐぅあああ!」「ぎゃああ!」「なんてプレッシャー!」「ふきとばされるぅ!」


 やつの体から伝わる呪いのはどうで、ギルメンたちが宙を舞う。タイちゃんが華麗にキャッチして事なきを得るも、根本的解決にはつながらない。


「リーフ君! あのまま暴走したら王都はおしまいよ! どうする!?」

「どうもこうも……緑の精霊のみんな! 力を貸して!」


 俺は薬師の神杖を掲げる。杖先には、さっきみんなの呪いを解いた解呪薬が充填されている。

 精霊達のパワーでブーストしたそれを、俺はウルフに投与する。


「ぬぐぅううああああああ! ちからがぬけていくぅううううう……」


 しゅうううう……と体から呪いのパワーが消えていき、ウルフの体が縮んでいった。

 そして、元通りの体になる。


「「「…………」」」


 唖然といた表情をするギルメン+ウルフ。

 俺はウルフの元へと向かう。


 薬神の宝刀バイシャジャグルを手に、ゆっくりと近づいていく。

 するとやばいと思ったのか、ウルフが尻尾巻いて逃げようとする。


「【調剤:麻痺薬パラライズ】」


 ばし! 俺の作った相手を麻痺させる薬が発動し、ウルフがその場に倒れる。


「ひぃいいい! お、おたすけ、おたすけええええええええええ!」



 命をこわれても、俺の心が変わることは無い。

 こいつは、俺の大事なギルメン……仲間を呪い殺そうとしたのだ。


「容赦するわけ無いだろ! 【調剤:即死毒デス・ポイズン】!」


 宝刀の刃に毒が充填される。

 アーサーじーちゃん直伝の剣術で、ウルフの体を一刀両断する。


「ばか……な……魔族の体は……人間の何十倍も……頑丈……なのに……」


 バターのようにあっさりと、やつの体は斜めに切断されている。

 俺の作った毒薬の効果で、細胞を死滅させたのだ。


「なんと……いう……威力……あのお方に……ほうこく……せね……ば……」


 ざふ……と煙になってウルフが消え去る。あとには静寂がただようばかりだ。


「や、やったぞ! リーフ君が、あの化け物を倒してくれた……!」


 わっ、と仲間達が歓声を上げて抱きついてきた。


「ありがとうリーフ君!」「やっぱりリーフ君はすごいな!」「さすがです!」


 エイリーンさんを含めて、みんながお祝いしてくれる。うれしい!

 一方でマーキュリーさんとエリアルさんは神妙な顔つきで、俺が倒した魔族の後をみつめていた。


「……あのお方ってだれかしら?」

「わからない。だが、最近の事件に関連があるかもしれないな」


【★読者の皆様へ お願いがあります】


ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります!


現時点でも構いませんので、

ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです!


お好きな★を入れてください!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ