263.必要
こうして僕らは、ようやく『ヘル・インフェルノ女囚監獄』へと到着した。
なんだか、とてつもない長い時間がかかったような気がする。
今回の目的は、ギルドからの依頼だ。
ここに収監されている女囚さんたちの健康状態が悪化しているらしく、その診療のためにやってきたのである。
ザザァン……と波の音が響く。
船が岸壁につき、僕、タイちゃん、そしてミーメイさんの三人がタラップを降りた。
今更だけど、ミーメイさんって同行する必要あったのかな。
マーキュリーさんを含む三人で、なんとかなったのではないだろうか。
目の前には、荒々しい岩場に作られた船着き場。そこから一本の石橋が延びて、断崖絶壁にそびえ立つ監獄へと続いている。
潮の香りに混じって、どこか鉄錆のような不穏な臭いがした。
桟橋には、一人の女性が待っていた。
長身で、ピシッとした看守の制服に身を包んだ、クールビューティーなお姉さんだ。
だが、様子がおかしい。
「はぁっ! はぁっ! はぁっ……!」
肩で息をしている。顔が赤い。
「え、えっと……こんにちは。ギルドから派遣されてきた、リーフ・ケミスト……です」
「はぁっ! はぁっ! はぁっ……!」
彼女がギロリと僕を見た。
その目は血走り、飢えた獣のようにギラギラと輝いている。
え、なに? 怖いんだけど。
「もう我慢できないっ! いただきますっ!」
「ひぃっ!?」
理性が消し飛んだ顔で、看守さん(多分)が僕に襲いかかってきた!
大きく広げられた腕が、僕を捕獲しようと迫る。
わ、ど、どうしよう! 僕、女の子は殴れないよ!
「ちょいやーッ!」
ドゴォォォン!
横から飛び出したミーメイさんが、容赦ない飛び蹴りを看守さんの顔面に叩き込んだ。
ぐるんっ、と看守さんは空中で綺麗な一回転を決め、白目を剥いて地面に沈んだ。
「リーフさんの貞操は、ウチが守る!」
ミーメイさんは着地を決め、ビシッとサムズアップする。
なるほど。
ミーメイさん、疑ってごめんなさい。
めっちゃ必要でした!
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