241.囚人のマーキュリー
マーキュリーは牢屋の中で大きく、ため息をつく。
「ったく……なんでこんな目にあわないといけないわけぇ……」
ヘル・インフェルノ女囚監獄。
ここの最下層にいる、女囚を治療するのが、今回リーフ(と相棒のマーキュリー)に与えられたミッションだ。
リーフは同行する予定の冒険者、ミーメイのところへ行ってる。
待っている間に、マーリンが来て、マーキュリーをこの監獄にぶち込んだのだ。
「ここで何しろっていうのよ……」
監獄の中でぼーっとしてればいい、というわけではないみたいだ。
マーリンから与えられたのは、ここで強くなれという課題だ。
「強くなるって……どうやって……」
そのときだった。
ジリリリリリリ……!
「囚人ども! 食事の時間だ! 出ろ!」
……まあ、今はお腹が空いてるし、食事の後に考えよう。
マーキュリーは立ち上がって、鉄格子の側に立つ。
看守のカシューが近づいてくる。
「おい、4242番」
「なによ……てゆーか、この番号、いやなんですけど……」
囚人達は番号で管理されてる。
マーキュリーの番号は、4242番。直ぐ死にそうなこの番号のことが、マーキュリーは嫌いだった。
「いいからさっさと手を出せ」
「ったく……」
すっ、とマーキュリーが両手を鉄格子の外に出す。彼女の手首には、黒い刺青がされてる。
「繰り返すようだが、その刺青は手錠の代わりだ。脱獄を試みると直ぐに、管理棟に情報が行く。またマーカーの役割も兼ねているから、どこに逃げようと、一瞬で看守が飛んでくるからな」
「わーってるわよ。逃げないわよ」
逃げずとも、待っていればリーフが助けに来てくれるのだから。
逃げる必要なんて全くない。
カシューがブツブツと呪文を唱える。
すぅ……と刺青の色が薄くなった。
鉄格子の一部がスッ……と消える。
「出ろ」
「はいはい」
マーキュリーはカシューの後ろについて、食堂へと向かうのだった。
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