226.同行者
パンデモニウムさんから、依頼内容を聞いた。
北方にある監獄へ行き、そこの女囚さんを治療するというもの。
「わかりました! 僕……その依頼受けます!」
悪女だろうと囚人だろうと、病人は病人だ。
病人はほっとけないよ!
「リーフ君がいくならあたしも行くわ」
『我が輩も』
「ありがとう二人とも!」
二人がいれば心強いや!
一方、ヘンリエッタさんは腕を組んで言う。
「今回行くのはヘル・インフェルノ女囚監獄。中にいるのは凶悪な囚人たちじゃ。念のため、同行者を付ける」
「どーこーしゃ?」
「うむ。他ギルドのSランク冒険者パーティが今回作戦に同行するのじゃ」
他ギルド!
「え、冒険者ギルドって他にもあるんですか?」
「あるのよ……」
マーキュリーさんがため息をつく。
「天与の原石以外にも、3つ、Sランクギルドはあるのよ」
「はえー……。あれ、でも王都にはうちしかSランクギルドないですよね?」
「ゲータ・ニィガにはね。でも他国にはあるのよ、Sランクギルド」
なるほど……!
「今回、極東冒険者ギルド、【東武無敗】から、Sランク冒険者、【ミーメイ】が派遣される」
東武無敗……なんだか強そうなギルド名だ。
「ミーメイさんってかたは?」
「東武無敗に所属するSランク冒険者で、職業は格闘家。かなり腕の立つ女じゃ」
凄い格闘家かぁ……!
どんな人だろう、気になる!
「また女なのね……」
『また女だな……』
あれ、マーキュリーさんとタイちゃんがなんかため息をついてるぞ?
「どうしたんですか? ミーメイさんが参加することに反対なんですか?」
「いや、別に。ミーメイが凄い格闘家だってのは、知識として知ってるし。ヘル・インフェルノ女囚監獄がヤバいところだから、戦力が多い方がいいのはわかってるから、参加にたいして異議があるわけじゃあないわ」
……?
じゃあ、なんなんだろう……?
「リーフ君」
「なんですか?」
「あたしね……その、できればあたしだけを愛してほしいわけよ」
「そんな! 当たり前じゃないですか! 僕はマーキュリーさん一筋ですよ!」
「あ、ありがと……」
もにょもにょ、と口ごもるマーキュリーさん。
照れてる……? 可愛い!
「その、ね。リーフ君ほら、あれじゃん」
「あれとは?」
「鈍感じゃん?」
「そうなんですか?」
「そーなのよ! だから……その、また無自覚に人をたらしこむんじゃないかって……心配なの……」
何言ってるんだろう……?
無自覚にたらし込むことなんて、してたかな……?
よくわからないけど、マーキュリーさんを心配にはさせないぞ!
「大丈夫です!」
「ほんとに……?」
「はい!」