198.別れ、旅立ち
四凶の暴走を止めたあと、俺は故郷のデッドエンド村へとやってきた。
「「「リーフちゃーん!」」」
大好きなじーちゃんばーちゃんたちが、笑顔で、俺を出迎えてくれる!
「みんな~! ただいまー!」
ばーちゃんたちにもみくちゃにされる、俺。
この村には子供がほとんどいないので、俺は皆から溺愛されてるのだ。
「こないだはすごかったねえ!」「さすがアスクレピオス様の一番弟子さんだ!」「リーフちゃんかっこよかったよぅ!」
皆が俺を褒めてくれる。……えへへ。
「あら、ローレンちゃんもおるのかえ?」
「うむ! ただいまだぞ!」
ローレン君も俺と一緒にここにきた(というか彼の次元斬でここまで運んでもらった)。
「おお、リーフちゃん、ローレンちゃん」
「アーサーじーちゃん」
村長のアーサーじーちゃんが俺の前にやってきた。
「どうしたんじゃ?」
「報告。色々片付いたから」
「ほほ、そーかそーか。ん? ローレンはどうしておるのかの?」
するとローレン君はここに来た目的を言う。
「またしばらく、ここで修行することにしたぞ!」
「おお? どうした、出て行ったばっかりなのに」
元々ローレン君はこの村出身だ。
「外で四凶という化け物と戦ったのだ! が、そのときに手こずってしまってな……自分はまだまだだと痛感させられた!」
ローレン君は窮奇以外の化け物、3体を倒してくれたのだ。
その際に、己の無力さを痛感したのだという。
「ほう、そうか。相手は強かったのか?」
「うむ! 強かったぞ! おれは四凶1体を倒すのに10秒もかかってしまった! 踏み込みに3歩も使った! まだまだだ!」
じゅ、10秒……!
そんな……。
「「「たしかにまだまだ、まだまだだね(じゃな)」」」
じーちゃんたちがうなずく。
元英雄であるじーちゃんたちからすれば、まだまだ未熟ってことらしい。
俺から見たら十分すごいとおもうんだけどなぁ。
窮奇の病気を取り除くのに、俺は結構時間掛かったし。
「アーサー村長! おれをもっと鍛えてくれ!」
「あいわかった。今日からビシバシしごいてやろう」
「ありがとう!」
くる、とローレン君が俺の方を見やる。
「では、リーフ君! しばしのお別れだな!」
「そうだね……さみしくなるなぁ」
ギルドは休会するそうだ。
せっかく、後輩ができたと思ったんだけど……。
「なに、いつでもすぐ会いに行けるから! 次元斬で!」
「そっか! そうだったね!」
えへー、と笑い合う俺たち。
これが今生のわかれってわけでもないしね。
「あら、リーフちゃん! もう帰っちゃうのかい!」
「さみしーよーう」
じーちゃんばーちゃんたちが、さみしがる。
うう……後ろ髪引かれるなぁ。でも。
「うん。仕事あるから」
Sランク冒険者としての仕事が、ね。
アーサーじーちゃんが笑いながら、俺の頭に、手を乗っける。
「またいつでも帰っておいで」
「うん!」
外で待っていたタイちゃんのもとへ行く。
「タイちゃん、村に入らなくて良かったの?」
『あんな魔窟に、いきたくないの……』
まくつ?
よくわからないけど、人見知りってことなのかなっ。
「じゃ、タイちゃん。かえろう」
こうして、色々あった事件は無事解決したのだった。
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