188.治療
窮奇を全員で協力して、氷漬けにした。
場所はエルフ国から離れた草原。
全身氷漬けになった窮奇が俺たちの前で動けずに居る。
「……消すか」
黒銀さんが召喚術で、魔法の剣を無数に出現する。
凍ったこの状態で攻撃すれば、いかに四凶だろうと、ひとたまりもないだろう。
「待ってください!」
俺は窮奇の前に立ち、両手を広げる。
「この子は……病気なんです!」
「……病気?」
「はい。病をまき散らす、そんな生物がこの世にいていいはずがありません」
するとマーキュリーさんがため息をつく。
「毒をもってる生き物は自然界に存在するでしょ? クラゲとか」
「確かに……でもそれは、過酷な自然界を生き抜くための手段としての毒です。自分の身を守るための手段でしかない」
「まあそりゃ……そうだけど」
窮奇は自分からウイルスをばらまいていた。
自分が毒を分泌してるならまだしも、ウイルスを体内で生成することなんて、生き物にはできない。
「リーフ様の見解は?」
プリシラさんの問いかけに俺は答える。
「窮奇もまた、病にかかってる。ただそれだけのことなんですよ」
目の前に患者がいるなら、助ける。
俺は薬師なのだ。
「……こいつを殺せば体内のウイルスも死ぬのではないか?」
「確かにそうかもしれません……でも、俺は助かる命を見殺しにはできません」
黒銀さんが俺を、仮面越しに見つめてくる。
だが、やがてため息をついて言う。
「……わかった。君に一任する。ただし、治療方法が見つからない場合は殺す」
「ありがとうございます!」
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