175.やけど対策
俺たちは不死鳥の元へ向かっていた。
不死鳥の巣の周りにあった炎を、ドーピングパンチでぶっ飛ばす。
これで道ができた、あとは近づくだけだぞ!
見上げるほどの大樹の根元まで、俺たちはやってくる。
「すごい熱波ね……リーフ君お手製日焼け止めがなきゃ、今頃焼け死んでたわ……」
大樹の近くは灼熱地獄と化していた。
マスクと、日焼け止めがなかったら、多分マーキュリーさんの言ったとおり、消し炭になっていたと思う。けど……。
「え、消し炭になったくらいじゃ、人って死なないですよね?」
「……マーキュリー嬢、彼は頭がおかしいのか?」
「そうよ、イージスさん。よくわかってるじゃあない」
二人がなんだか、俺に異常者を見る目を向けてくる。あれ?
おっかしいな……。
アーサーじーちゃんも、マーリンばーちゃんも、死んだくらいだと死なないのに。
「即死攻撃に対する防衛方法くらい、みんな普通身につけてますよね? 常識的に」
「あんたの常識が通用した場面が、一度たりともあった!?」
「はい!」
「ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええよ!」
そんなこんなありながら、大樹の根元へ到着。
そこには……。
「鳥さん?」
手のひらに収まるくらいの小さな鳥が、炎でできた巣の中でうずくまっていた。
マーキュリーさんが小鳥を見て、つぶやく。
「どうやらその子が、不死鳥みたいね」
マーキュリーさんには鑑定スキルがあるのだ。
それで種族名を当てたのだろう。
「苦しそうですね……すぐに診察、治療を!」
俺が近づこうとする。
「き、危険だ! 不死鳥の近くはここ以上に熱を……」
ぼっ……!
「ああ、リーフ殿!? まる焦げに……」
「え、大丈夫ですけど?」
「えええええええええええええええええええええ!?」
何を驚いてるんだろう?
「い、いやいや! リーフ君どうして死んでないの!?」
「マーキュリー殿のその発言ちょっと怖いが……たしかにカノジョの言う通りだ」
え、だって……。
「保湿クリームぬってますから」
「「は?」」
「日焼け止め+保湿クリーム! これ、日差しの強い場所へ行くときは常識……ですよね?」
特製保湿クリームによって、蒸発する水分を防ぐことができるのだ。
だから、俺はやけどで死ぬことはないのである……ってあれ?
二人が頭を抱えてるぞ?
そんなときは……!
「はい、完全回復薬!」
「「いらねええええええええええんだよぉおおおおおおおおおおお!」」