170.神の鳥
「神……?」
俺たちは神獣の森へと向かっている。
そこにエルフたちに病を振りまく元凶が居るそうだ。
「なんてやつなんですか?」
「不死鳥を知ってるか?」
不死鳥……。
話には聞いたことがあるような……。
すると同行者、マーキュリーさんがうなずいて解説する。
「死と再生をつかさどる、伝説の神獣のことよ。その涙はあらゆる傷を治し、その血を飲めば不老不死が手に入るとか」
「へー」
「へ、へーって……すごいでしょ」
「そうでしょうか。頭痛薬はあらゆる傷治しますし、うちのじーさまで不老不死の人も結構いますよ?」
「デッドエンドの化け物たちを比較基準に出すなや! あと頭痛薬は完全回復薬だから! 貴重な薬だから!」
はぁ……とため息をつくマーキュリーさん。
俺はすかさず頭痛薬を渡しておいた。
「不死鳥は現世で目撃証言がほとんどないけど、エルフが管理してたのね」
「そうだ。神獣の森に住まい、我らに癒やしを与えていた。エルフは俗世とかけ離れた場所にすんでおり、病を治すさいは薬ではなく、不死鳥様に頼っていたからな」
魔法や薬ではなく不死鳥の涙を頼ってたんだ……。
ふぅん……。
「治癒魔法は使わなかったんですか?」
「ああ。元来魔法とはそう易々と使って良い物じゃあない。神の奇跡だからな」
マーキュリーさんがここも説明を入れてくる。
「エルフたちにとって、魔法は神聖な存在なのよ。私たちにみたいに日常のことでは使わないのよ」
「へえ……マーキュリーさんさすがですね、物知りです!」
マーキュリーさんは自嘲すると、「まあもう私って解説する以外、全部リーフ君に負けてるから……ね……」と言うのだった。
そんなことない!
「マーキュリーさんが優れてる点、あります!」
「り、リーフ君……たとえばどこ?」
「おっぱい!」
「エロガキがぁ……!」