167.即解決
俺たちはエルフ国へとやってきている。
国王のデルフリンガーさんは、故郷のマーリンばーちゃんのお弟子さんだったみたいだ。
とりあえず、俺たちが不法侵入者ではないことは証明できた。
「グラハム公爵家からは、この国で流行病がはびこってるって聞きました」
「そのとおりです、リーフ。実は……ここ最近、我らエルフは体調を崩しているのです」
「体調……?」
けれど、この場に集まってるエルフさん、デルフリンガーさん、そしてイージスさんも体調が悪そうには見えない。
「MGP症候群が流行ってるのです」
「! MGP……ですって!」
大変じゃあないかそれは!
マーキュリーさんが首をかしげる。
「それって……たしかプリシラさんのお母さんがかかってたっていう?」
「ええ、魔力が欠乏し、最悪死に至る病です」
なるほど、納得だ。このふたりは魔力量が結構多い。
だからMGPにかかっても、魔力が欠乏することはないのだ。
でも……変だぞ。
「MGPで、集団感染する事例は聞いたことないです」
そう……あれは突発的に発生する病であり、なおかつ感染性がないはずだ。
それが流行るのは……変だ。
「そうなのですか? ですが……魔力量の低いエルフたちは、集団でかかってしまい、動けないでいます」
「そんな……」
まあ、原因究明はあとだ。
未知の病原体じゃないのだ、治療は……できる!
「でもリーフ君どうするの? この国のエルフ全員に、薬をうって回ると時間がかかるわよ」
「はい……なので……!」
俺はばーちゃんからもらった、選別、薬師の神杖を手に取る。
これは調合した薬を、外部から、適切な処方で投与でる優れもの!
「【調剤】!」
俺は薬師としてのスキルを発動。
「いや、リーフ君。この国どんだけ広いと思って……えええええええええええ!?」
杖の先から、緑色のまばゆい光が発生する。
「めがぁああああああ! めがぁあああああああああああ!」
マーキュリーさんが目を押さえてゴロゴロ転がる。
その間に、俺が作った薬が、エルフさんたちに行き渡る……。
「し、信じられない……身体がどんどん楽になっていく!」
「まさか……この国全体に薬を投与したというのか!?」
デルフリンガーさんたちが驚愕してる。えっと……。
「はい、そうですけど……それがなにかおかしいですか?」
「あんたがおかしくなかったときないだろおがよぉおおおおおおおおおおおお!」
マーキュリーさんが地面を転がっていたので、とりあえず目に目薬をぶっかけておいたのだった。
「目薬のことエリクサーってよぶの、やめろや!」