162.シリアスブレイカー・リーフ
エルフ国アネモスギーヴへとやってきる俺たち。
船をぶっ飛ばした結果、エルフたちの村に不時着。
不審者扱いされて、俺たちは捕縛された。
その後、やってきたイージスさんとともに牢屋を出る。
「話を聞きたいって……一体誰が……?」
彗星の魔女マーキュリーさんが、前を歩くエルフのイージスさんに尋ねる。
イージスさんはフンッ、と鼻を鳴らすと言う。
「黙れ」
「だ、黙れって……」
「わらわは人間が嫌いなのじゃ。特におまえ……!」
ん?
俺……?
「そうじゃ。わらわは黒髪の人間を見ると、無性に腹が立つのだ」
「え、どうしてですか?」
「昔、酷い目にあったからな」
酷い目に……か。
何があったんだろう。
いや、何かがあったんだ。
心にトラウマが植え付けられてしまったんだ。かわいそうに。
「あ、じゃあこれ飲みます?」
俺は手のひらに薬を作り出していう。
ぎょっ、とイージスさんが驚く。
「貴様なにをした!?」
「え、薬を作っただけですが……?」
「いや、貴様は呪鎖でキツくしばられていたはずじゃぞ!?」
「じゅさ……?」
よくわからないけど、たしかに体には鎖が巻かれていた。
でも邪魔だった。
「こう、ぶちってちぎりましたけど」
「ふざけるな! 絶対に壊れぬ呪いがほどこされていたのだぞ!? どうして壊れる!?」
「壊れたからとしか……」
「なんというバカ力……」
ふるふる、とイージスさんが首をふるって、腰のナイフを抜いて、切っ先を向けてくる。
「貴様、その手のひらにある粉薬はなんだ!? どこからとりだした!?」
「え、このペンダント、天目薬壺からですけど?」
この中に薬の材料をぶっこんでおけば、好きなタイミングで調剤し、薬を作り出すことができる。
「て、天目薬壺だと!? 神話級のレアアイテムじゃないか!? どうして貴様が持っているのじゃ!?」
「どうしてって……知り合いからもらったんですけど」
「知り合い!? 誰じゃ!?」
「マーリンばーちゃん……」
「マーリンじゃとぉお!?」
え、っとナニに驚いてるんだろう……。
一方俺たちのやりとりをみて、マーキュリーが言う。
「あ、これ大丈夫なやつだ。シリアスにならなくて大丈夫ね」