159.黒銀の正体
ベヒモスのタイちゃんは、エルフ国アネモスギーヴにて、リーフと同じギルドに所属するSランク冒険者と遭遇した。
黒銀の召喚士。
常に銀の仮面を身につけた、黒衣の男である。
その素顔は誰も見たことがない……が。
タイちゃんたちのまえに、今その仮面の下の顔をさらしていた。
「おぬしは……天与の……」
キルト・インヴォーク。
受付嬢、ニィナの兄である。いつも定時に家に帰る、ギルド職員のひとり……なのだが。
「よもや……ギルド職員のあなたが、最高位のSランク冒険者であったか……」
たらり……と額に汗を浮かべる黒銀、もといキルト。
彼はシームレスで、その場に膝をつくと、ふたりに頭を下げた。
「……このことは、どうか、ご内密に」
最高位の冒険者がなぜか土下座している。
そこまでして……正体を隠したいのか?
「別に構わぬが……なぜ隠そうとする? なぜギルド職員なんてやってるのだ?」
Sランク冒険者であるのなら、収入も相当な物だろう。
わざわざギルド職員をやらずともよいものを……。
するとキルトは頭を下げながら言う。
「……僕が望むのは、安定なので」
「安定……」
「冒険者……水商売みたいな、もの。体壊したら終わり……だから」
「ふぅむ……だからもう一つの仕事をもっておこうと?」
こくこく、とうなずくキルト。
変わった人もいたものだ……とタイちゃんと公爵令嬢プリシラが驚くのだった。
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