155.風よ
俺たちはエルフ国アネモスギーヴへ向かっていた。
道中、ウミヘビに遭遇し、一時航海は中断。
ウミヘビは俺がぶっ倒し、旅が再開したのだけど……。
「え、船が進まない? どういうことですか、マーキュリーさん?」
船の甲板にて。
魔女のマーキュリーさんがため息交じりに言う。
「文字通りよリーフ君。船が進まないの。船って風を受けて進むでしょ?」
「そうなんですか?」
「そうなのよ……で、さっきのリヴァイアサンのゴタゴタがあって、船を止めちゃった。その間に、風がやんで、しばらく動かないそうよ」
確かに船の帆を広げては居るけど、乗ったときみたいに帆が膨らんでいなかった。
なるほど……風かぁ。
「さすがのリーフ君もお手上げね。まさか風を起こすことなんてできないでしょうし」
「? できますけど」
「できるんかい! ど、どうやって……?」
俺は魔法カバンから数種類の薬を取り出し、船の後ろへとやってきた。
そこから、海めがけて薬瓶を投げ入れる。
「なに入れたの……?」
「薬です。もうすぐ……あ、来た」
その瞬間……。
ぼこ……ぼこぼこぼこぼこ……!
「な、なんか海面がボコボコ言ってるんですけど!?」
「はい! 特殊なガスがでるように、薬を入れておきました」
「ガスって……マサカ!」
ようは、風が吹けば良いのだ。
俺は溶液をまぜて、すさまじい勢いでガスが噴射するように、海の水を変質させたのである。
そして……。
どごおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!
「うぎゃあぁあああああああああああああああああああ!」
上空へと吹きすさぶ風。
それに推された船が、ものすんごい速く飛んでいく。
「す、すごいですわ! 船が飛んでいますの!!!!」
プリシラさんがキラキラした目を外に向けて言う。
タイちゃんが彼女のことを抱きかかえて、飛ばないようにしていた。
船は上昇気流に吹っ飛ばされて斜め上へと飛んでいく。
「いやぁあああああああああああああああ! 落ちるぅうううううう!」
よし、これなら遅れた分取り戻せそうだぞ!
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