142.これから
リーフ・ケミストの故郷へと戻ってきた魔王ヴァンデスデルカ。
リーフの正体について、アーサー村長夫婦は知らなかった。
「で……これからどうするんすか? リーフ君のこと」
ヴァンデスデルカは二人に尋ねる。
現状、リーフは破壊神、かもしれない存在だ。
全てを破壊しつくす、かもしれない、危険な存在……。
「正直、自分はリーフ君をあのまま外に出すのは危険だと思うんすよ」
触れた物全てを破壊する、危険な存在だ。
もし暴走したら……。
「いや、リーフちゃんには、あのまま、自由に生きてもらいたい」
「! マジで言ってるンすか? 破壊神かもしれねーんすよ!」
「だから、なんじゃ? あの子を殺せと?」
「そ、そこまで言ってないすけど……」
アーサーから放たれるプレッシャーに、ヴァンデスデルカは萎縮してしまう。
老人は直ぐに殺気を抑えて、厳かに言う。
「リーフちゃんは、確かに人間ではないのかもしれん」
しかし、とアーサーは穏やかな調子で続ける。
「この村の子供じゃ」
「アーサーさん……」
彼はリーフ・ケミストがこの村に来てからずっと、彼の行いを見てきた。
師のもとで技術を磨き、その力を村のみんなの健康のために使う。
その姿に、いっぺんの悪意も感じられない。
「あの子が人であろうと無かろうと、わしら村人にとって、大事な子であることには代わりない」
「だから……あのままにしておくんすか? いつ暴走するかわからない、存在を?」
す……とアーサー、そしてマーリンの目が細まる。
「そのときは……わたしたちが責任を持ってリーフちゃんを止めます」
「そして……もしリーフちゃんが自我を失い、人を傷つける存在となったときは……わしが腹を切ろう」
「もちろん、わたしもですよぉ、おじいさん」
……ヴァンデスデルカは、正直二人の判断が正しいとは思えなかった。
だが子供を思う親の気持ちもまた、理解できた。
アーサーたちにとって、リーフ・ケミストは本当の子供なんだろう。
だから、やらかしたら責任取ると言ってるのだ。
「…………」
ヴァンデスデルカは述懐する。
確かに、リーフ・ケミストは規格外の存在だ。
常にやらかすヤバい存在だ。
しかし……。
マーキュリーたち、冒険者に囲まれて、楽しそうにしてる若者の未来……。
それを、閉ざすのは、なんだか違う気がした。
「じゃあ……村の方針としては、リーフは好きにさせる。何かあったら英雄村の連中が止めるってことっすね」
「うむ。その方針でいこうと思う」
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