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【WEB版】辺境の薬師、都でSランク冒険者となる~英雄村の少年がチート薬で無自覚無双〜  作者: 茨木野
第四章

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130.全自動エリクサー生成マシーン



 俺の名前はリーフ・ケミスト。

 どこにでも居る、田舎出身者。


 元々師である薬師のアスクレピオス師匠せんせいと、その孫であるドクオーナと一緒に暮らしていた。


 しかし師匠は死に、ドクオーナからは婚約破棄を言い渡される。

 俺は王都をでて冒険者ギルド、天与の原石に所属することになった。


 村長の奥さん、マーリンばーちゃんのお孫さんである、マーキュリーさんのもとで居候させてもらっている俺。


 ベヒモスのタイちゃん、Sランク冒険者のエリアルさんなど、いろんな人と出会いながら、少しずつ冒険者としてのキャリアと、都会での常識を身につけていた。


 そんなある日、人間に変身する顔無しの化け物が王都を襲った。

 俺は仲間達とともにこの事態の収拾に当たった。


 その課程で、俺の中に秘めたる力を解放。

 敵を消滅させることに成功したはいいけど、俺の正体が化け物だと知られてしまう。


 しかし天与の原石のみんなは、こんな俺のことを温かく迎え入れてくれたのだった……。


    ★


 俺はタイちゃんと一緒に、王都から離れた場所に、薬草を摘みに来ている。


 ベヒモスのタイちゃんは、普段は赤い毛皮の獣の姿をしてる。

 よく俺を乗せてくれる、相棒的存在だ。

「さ、薬草たち、おいで!」


 俺が呼びかける。

 それだけで、周囲に緑色の光が転々と浮かび上がる。


 これは、緑の精霊。

 草花のなかに秘めたる、精霊たちだ。


 俺の目は特別製で、この精霊達を肉眼で見ることができる。

 精霊と心を通わせることのできる俺は、呼びかけるだけで、薬草が自動で集まってくる。


 そして、俺は手を前に突き出してスキルを発動させる。


「【【調剤:回復薬】】!」


 薬師のスキル、調剤。

 素材となる薬草を使い、薬を作るスキルだ。


 回復薬以外にも、毒や麻酔など、使い方を誤れば危険な代物も作れる。

 俺は主にこのスキルを使って、薬を作る、いろんな問題を解決していた……んだけど。


「…………」

「どうした主よ?」


 ぽん、とタイちゃんが人間の姿になる。

 獣耳に赤い髪がうつくしい、妙齢の女性へと変貌する。


「やっちゃった」

「む?」


 俺はタイちゃんにポーション瓶を突き出す。

 彼女は瓶を一つうけとり、すんすんと鼻を鳴らす。


「! これは……回復薬ではないな」

「うん、完全回復薬エリクサーだね」


 怪我も、病気も、一瞬で治してしまう凄い薬、完全回復薬エリクサー


「俺はただの薬草を摘んで、回復薬を作った。でも、できあがったのは完全回復薬エリクサー

「薬草から完全回復薬エリクサーを作ったのか……まったく、主は相変わらず凄いな」


 むーん……。


「どうした?」

「いや、完全回復薬エリクサーってそんな凄いかなって」


 タイちゃんが「またか……」とあきれたような顔になる。


「だって完全回復薬エリクサーって村じゃみんな、1日1完全回復薬エリクサー飲んでたし」

「そんな牛乳感覚で!?」

「うん。完全回復薬エリクサーくらいだったら簡単に作れるでしょ?」


 師匠も楽々作っていたし。

 まあ、もっとも完全回復薬エリクサーって、怪我病気にはきくけど、加齢から来る節々の痛みなどは和らげられるけど、根治はできないんだよね。


「主よ……もう何度目になるかわらかぬが、言っておくな」


 すぅ……とタイちゃんが息を吸い込んで言う。


「主の言うところの普通は、普通じゃない!」

「えー……? そうかなぁ?」

「そうだぞ! マーキュリーもいっておるだろうが!」

「まー……たしかにそうだけども」


 まあでも、俺にとっては薬を作ることは手足を動かすかのごとく、簡単にできること。

 それに俺の周りには、じーちゃんばーちゃんといった凄い人たちばっかりがいた。


 そんな彼らと比べたら、俺は全然まだまだ。

 てゆーか、村の中で最弱まである。


「頑張ってもっと薬師としての経験と勉強を積んで、世界中の人にきく万能薬に俺は……なる!」

「もうすでに万能薬なんだよなぁ……」


 タイちゃんが、大きくためいきをついた。


「さ、納品に行こうか、タイちゃん」


 どろん、とタイちゃんがベヒモスの姿になる。

 俺は彼女にまたがる。


 タイちゃんはタンッ、と地面を蹴ると空中を走り出す。


『しかし主よ……今回のクエストは、回復薬を20本納品だろう?』

「あー……そっか。しまったなぁ。クエスト失敗かも」


 完全回復薬エリクサーしか作ってないや。

 怒られちゃうかも……。


『まあそれはないだろうが』

「どうして? 頼まれた物もってこなかったのに?」

『まあいけばわかる』


 タイちゃんが王都ニィガへと到着。

 商業ギルド、【銀鳳ぎんおう商会】へといき、納品すると同時に頭を下げた。


「ごめんなさい! 回復薬じゃ無くて間違って完全回復薬エリクサー作ってきてしまいました!」


 頭を下げる俺に……。

 受付のお姉さんは、首をかしげていた。

「すまない、受付嬢殿。この子は少々、常識がなくって……」

 

 人間姿のタイちゃんがぺこりと頭を下げる。

 結局許してもらえた! 

 やったね!


 納品を終えた俺はタイちゃんと一緒に、ギルド天与の原石へと戻ってきた。


「あ! 帰ってきたわ!」


 受付嬢のニィナさんが、どたばたとこちらに駆けてくる。


「ニィナさん、どうしたんですか?」

「リーフさんに会わせたいひとがいるんです!」

「俺に?」


 ニィナさんと一緒に、俺はギルドの奥へと向かう。

 そこにはすでに、人だかりができていた。


「む! 来たか!」


 そこには、10歳くらいの小さな男の子がいた。

 赤銅色の髪の毛に、明るい笑顔。


 誰だろう……?

 ギルドの人じゃないや。


 すると彼は俺を見て笑いかける。


「おれはローレン! 今日からこのギルドに入る! よろしくおねがいするぞ! 先輩!」


 ……ギルドに、また新しい仲間が増えるってこと?

 後輩だ!


 しかも……今回は男の子!

 年も近い!


 うぉおお!


「うん、よろしくローレン君!」

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『【連載版】追放聖女はキャンピングカーで気ままに異世界を旅する』

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