127.彼は、ナニモノ?
リーフの同僚、魔女マーキュリー、魔王ヴァンデスデルカ、そしてSランク冒険者エリアルとともに、王都外壁の外に立っていた。
「ねえ……ふたりとも。今の……見た?」
マーキュリーが呆然とつぶやく。
彼女らは先ほどまで、王都の地下に知らぬ間に作られた、巨大ダンジョンのなかにいた。
顔無しの化け物達との激しい戦闘が行われていた。
……しかし、突如として、その戦闘が中断させられたのである。
何が起きたのか、彼女たちには理解できない。
地下のダンジョンごと、顔無しの化け物も、消滅したのだ。
そして気づけば、マーキュリーたちは地下から外へと強制的に転移させられていた。
彼女らが見たのは……何も無い荒野。
荒野には2人の人物がいた。
だが、【そのどちらも】見たことない人物だった。
そのうちひとりが、何も無い荒野から一転して、王都へと【作り替えた】。
そして、化け物は消滅。
「王都が消えて、また、戻ったっすね……」
「あの化け物2体は、なんだったのですわ?」
……魔王とエリアルは、気づいていない。
あの謎の化け物の正体に。
マーキュリーは、遠見の魔法を使ってふたりの戦いを見ていた。
だから、気づいた。
……化け物のうちひとりが、リーフ・ケミストであることに。
「ぬしら、無事であったか?」
「タイちゃん……」
人間姿になった、ベヒモスのタイちゃんが、マーキュリーたちのもとへやってくる。
「主と別れて、王都の外に出没したモンスターの掃除をしていたのである。そしたら、急にやつらが消えてびっくりしたのである」
「そう……」
どうやら、王都で起こった奇跡について、知ってるのはこのメンツだけのようだ。
……そして、化け物の正体がリーフ・ケミストであることを、知ってるのは、マーキュリーだけ。
「……何が起きてるのよ」
わからない。
だが、問題をナニモノかが、無理矢理解決したことだけがわかった。
王都地下に広がった、巨大な迷宮も。
突如現れた、モンスターの大群も。
王都に混乱をもたらした、顔無しの化け物も。
すべて、彼が片付けてしまった。
常識外れの力を持ってして。
「リーフ君……」
マーキュリーはつぶやく。
「あなた……ナニモノ?」
当然答えは返ってこない。
ただ、彼が人間では無いこと。
それだけは……確かだった。
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