121.高速自白
俺、リーフ・ケミストは王都にて、顔無しの化け物を率いる親玉と対峙している。
黒いマントを羽織り、フードで顔を隠す変なおっさんだ。
「あなたが、全部の元凶なんですね」
俺が問いかけると、男は「くくく……!」と不敵に笑う。
「さぁ、どうだ……【ああ、そのとおりです】」
男が目を剥いている。
なるほど……。
「【おれは邪神教団に属する邪教徒です。上に命じられて、王都に破壊と混乱を招きにきました】」
「上ってだれですか?」
「答えるわけが……【邪神教団の連絡係、伝書鳩という男です】」
「伝書鳩……それより上の連中については?」
「誰が言うもん……【一介の構成員に過ぎない私にはあずかり知らぬことです】ちょっとまてやぁあああああああああああ!」
邪神教団の邪教徒さんが、叫ぶ。
「おいガキぃ……! なんだ今のは! ベラベラベラベラと、秘密にしていたこと全部自白しちまったじゃあないか!」
ん?
「え、何驚いてるんですか? 自白剤を打ったんですから、しゃべるのは当たり前ですよね?」
「はぁ!? 自白剤だとぉ!? い、いつの間に……!」
俺の手には、薬師の神杖が握られている。
「この杖は、体内に直接薬品を投与できます。俺の作った自白剤を、あなたにうったんです」
「い、いつの間に作りやがった……! 前から備えてたのか!」
「? いえ、あなたに質問して、あなたが「さぁ、どうだ……」の、「さ」を言ってから言い終わるまでの間ですね」
ぽかーん……とする邪教徒さん。
やがて彼は顔を真っ赤にして言う。
「【そんなことできるわけないだろぉおおおおおおおおおおおお!?】」
思ってることと、実際に口にだしてることが同じのようだ。
できるわけない?
「いや……普通できますよね?」
「【できるかぁあああああああああああああああああああああ!】」
【★☆新連載スタート!】
先日の短編が好評のため、新連載はじめました!
タイトルは――
『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』
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