106.足がジェットになってる?(困惑)
俺、リーフ。顔無しの化け物を追跡していたところ、ギルマスのヘンリエッタさんから連絡があった。
地上に顔無しの化け物の大群があらわれて、暴徒となって暴れ出す未来が見えたという。
鼻がきき、そして判別が可能である俺が現地へ向かうことになった。
『吾輩に乗るのである、主よ!』
タイちゃんがもとの、ベヒモスの姿になる。
俺が一人で走るより速いからな。
「お願い、タイちゃん! 地上までごー!」
『うむ! しっかり捕まってるのであるぞ!』
タイちゃんが走り出す。俺よりは速い!
すごいスピードで周りの風景が、後ろにすっ飛んでいく。しかし……。
「厄介だな……」
『どうしたであるか?』
「この迷宮、常に動き続けてる」
多分迷宮もあの化け物が変化して作っているのだろう。王都の匂いがどんどんと遠ざかっていく。
『王都の匂い……?』
「うん、街の匂いをたどってるんだ。でも通路が動いてる」
『全力で走ってる。これ以上は無理だぞ』
しかたない。奥の手を使おう。
「【調剤】!」
俺は調剤スキルを発動させる。
胸のペンダントのなかに、薬が充填されていく。
俺は魔法カバンから薬師の神杖を取り出す。体内に直接薬をぶち込むことができる。
「タイちゃんごめん」
『え、わ、我が主? 何するのであるか?』
「緊急事態だから、ごめん!」
『だから何するのであるか!? 怖いのである!』
俺は杖を掲げる。充填された薬が、タイちゃんの身体の中に投与される。
すると……。
『んな!? なんじゃこりゃあ!』
タイちゃんの後ろ足が、円筒にかわる。
背中からは、非生物的な翼が生えてきた。
「強走薬(上級)だよ! 飲めばちょー速く走れる!」
『ちょっと!? 身体が変化してるのであるが!? これ大丈夫なのであるか!?』
「ごめん!」
『謝らないでぇええあぁああああああああああ!』
タイちゃんの後ろ足から、すさまじい勢いの風が吹き出す。
突風なんてもんじゃあない。ごおおおお! という激しい音を立てながらタイちゃんは空を飛ぶ。
「燃料を爆発させて、その推進力で空を飛ぶ技法だよ!」
『燃料!? 爆発!? 吾輩の身体どうなってるのぉ!?』
「大丈夫!」
『だいじょばないのだけどぉおおおおおおおおおおおおお!?』
このスピードならいける!
頑張れタイちゃん……!
待っててください、天与の原石の皆さん!
【★新作の短編、投稿しました!】
タイトルは――
『聖剣学園の特待生は真の力を隠してる(と思われてる)~聖剣を持たない無能と家を追放された俺、大賢者に拾われ魔法剣を極める。聖剣を使わない最強剣士として有名になるが、使わないけど舐めプはしてない』
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