103.うごめく迷宮
リーフとは別行動をとっている、魔王ヴァンデスデルカと魔女マーキュリー。
迷宮の奥から何かが来ると察知した魔王は、フクロウの悪魔ストラスを使って、現場から離脱を試みる。
しかし……。
「なにあれ!? なによあれぇええええええええええ!」
フクロウの足につかまる魔王とマーキュリー。
かなりの速度で悪魔が飛んでいるのだが、しかし、迷宮の奥から迫りくるそれとの距離が、どんどんと詰まってくる。
一言でいえば、肉の壁だ。
灰色で、ぶよぶよとした質感の壁が、通路の奥から迫ってきている。
「攻撃するっす!」
「そうね! 【火炎連弾】!」
マーキュリーが杖を取り出し、すばやく、上級火属性魔法を放つ。
複数の炎の玉が射出され、肉壁にぶつかる。
だが爆発することなく、吸い込まれていった。
「な!? 攻撃が利かない!?」
「【万象引斥力】!」
今度は魔王の重力魔法が発動する。
力場が発生して、肉壁を押しつぶそうとするも、すぐに重力の力場が掻き消える。
魔法の扱いに長けたふたりの背に、冷や汗が流れる。
ふたりの魔法はかなりの威力があった。だが、そのどちらもを、あの肉壁は吸収して見せたのである。
魔法をたやすく飲み込むのならば、人間なんて簡単に……。
あの壁に取り込まれた後、どうなってしまうのか。消化されるのか、あるいは、別の場所に転移するのか、わからない。
何もわからないという恐怖心が、壁が近づくにつれて大きくなってくる。
魔王は悪魔を呼び寄せようとする。だが、血が足りない。
悪魔召喚にはかなりの血液を必要とするのだ。
ストラスは懸命に、主人を敵から遠ざけようとした。だが、しかし。
壁がもうすぐそこまで迫りくる。
そして、そのまま二人を飲み込んでしまったのだった。
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