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8話 恐れる存在

お化け屋敷から出る時には総士はもう抜け殻のようになっていた。


お化け屋敷ドキドキ大作戦は失敗に終わった……


「おーい。にぃ。大丈夫かー?」


「もう……ダメ……」


そんな総士を咲は支えながら


「とりあえず昼ごはん食べよっか……」


「ああ……」



「わー!超美味しそう!」


遊園地内にあるレストランは外見も内装も綺麗で可愛いというより美しいというような感覚だった。

少し男性には入りづらいかもしれないけど……

そう咲は不安に思っていたが今の総士はそんなこと気にしてすらいない。なので総士を連れてレストランへと入ったのだ。

そして頼んだのがビーフカレー

何故ビーフカレーなのか。理由などない。ただ食べたかったからだ。一方で総士はカツカレーを選んでいた。理由は妹がビーフカレーだから似てるカツカレーにしよう。 というなんとも軽い気持ちだった。


「このカツも美味いや!」


ご飯を食べ始めると総士は今までの勢いを取り戻し元気いっぱいだった。


「にぃ。元気でた?」


「そりゃあもう勿論! 元気いっぱいな総士兄ちゃんです!」


「ちょっとキモイかも……」


「やっぱりテンション下がったわ……)


そしてそのまま午後の遊園地を楽しむ2人だった。


家に帰り、風呂やご飯を食べたりなどを終え、

咲はいつものように自分の部屋にいた。普段なら亀のぬいぐるみに顔を埋めている所なのだが、今日は違う。


自分でもよく分からない謎の踊りを踊っていた。


今日の反省と嬉しさが混じり自分でもどうなってるか分からないまま踊っていた。すると


「おーい。咲ー」


ドアが開く…… 総士は咲の部屋の中を見る。そして咲の謎の踊りを見てしまう……


「あっ……」


声がハモっていた。それが余計に気まずさを際立たせ、


「お前、何やってんだ?」


「いや、あの…… その……ね? そうそう! 素振り! 素振りをしてたの!」


「バット持ってないじゃん……」


「バットなんてそもそも家にないからそんな事気にしない気にしない! それで?私に何か用事?」


「あー。そうだった。あの前行けなかった猫カフェ明日日曜でやってるらしいんだ。行かないか?」


「行く! 絶対行く!」


咲の目は猫の目になっていて猫耳がついてるように見える……それくらい猫が好きなのだ。


「よし、じゃあ決まりだな」


バタッ っとドアが閉まる。


はぁ…… 咲は身体から力が抜ける。そしてそのままドアを背にして座っていた。


(今日も明日もにぃと過ごせるなんてこの土日……最高かよ!)


心の中でガッツポーズをし、また謎の踊りを始めていた。



(ほわぁぁぁぁ!! ここは天国? 天国なのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)

約束通り総士と咲は猫カフェへと来ている。今のは総士に自分の弱いところを見せたくないので心の中で叫んでいる咲の言葉だ。


だがそれは総士も一緒で


(やべぇ。 なんだこの可愛い生物達はぁぁぁぁぁぁぁぁ!)


このように歓喜あまっていた。

2人が猫に夢中になっていると


「あれ? 咲さんじゃないですか」


「……」


咲の背筋が凍る。


「あんた誰だ?」


少し強い口調で総士は相手に問う


「僕は咲さんのクラスメイトの池田慎吾と申します。 咲さんのお兄様でしょうか? 」


(なんだこいつ……)


と思いながら総士は


「ああ。そうだよ」


「やはりそうでしたか。 咲さんにいつもお世話になっています」


「それで、なんであんたがここにいんのよ」


「たまたまですよ。 僕猫が好きなので」


(いや、嘘だ…… 前は犬派って言ってた……)


「いや、あんた犬派なんでしょ」


「咲さんの勘違いでは?」




確かに。証拠はない。勘違いの可能性も否定はできない……


「ま、まぁ2人とも……」


総士からみても慎吾はなんだか気持ちが悪い。

見た目は若干茶色がかった髪で中学生とは思えない就活生のようなスーツを着ている。そして口調もどこかの貴族か! とツッコミを入れたくなるような感じだった。


そんな事を総士が考えていると、


「にぃ! にぃもこいつに1発言ってやって!」


「す、すまん。話の内容聞いてなかった」


「なんで聞いてないのよ〜!!」


咲の嘆きは本物だった。


(一体この慎吾とかいうやつは何者なんだよ……、 まさか。 咲の彼氏……! いや、彼氏ならこんな事にならないか……)


「にぃ、とりあえず離れましょ」


そして咲と総士はカフェの方でのんびりしていた。


「んで、あの慎吾って野郎は誰なんだよ」


咲の顔が暗くなる。


(なんだ……? 一体……)


「あいつね。多分私の事ずっとおってきてる……」


「お、おいちょっと待てよ。それってストーカーって事か?」


「多分……」


咲の顔は下を向いていて良く見えなかったが、体は震え、怯えて苦しんでいるように思えた。





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