表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/132

第83話 襲撃

間が空いてしまい失礼しました。

これからもしばしば間が空くかもしれませんが、お待ちいただけますと幸いです。

 夜も深い深夜、街は松明を持って哨戒している兵士が数名いる以外は皆が寝静まり、静かになった街、その街を高い所から見下ろしている集団が居た。


 キザシ、その人である。


「……おい、キサマの言ってた事は本当なんだな? 答えろ!!」


 キザシが後ろに控える無表情の男女のうちの一人をそう問い詰める、問い詰められた男はその気迫に押される事も無く、淡々と答える、


「……はい、ターゲットの男女……ほぼ全員を確認した」


 この無表情の贄は問いかけられればちゃんと受け答えするが、基本的には何も反応を示さない。だが、嘘を付くこともない。


 いや、嘘をつくほどの頭も残ってはいないのだ。


「はん、俺の予想通りだったか。まさか王女までやってくるとはな……」


 キザシにとっては面白くない展開である。本当は、少数精鋭でやってきた男をいたぶり殺してウォームアップし、そのまま街を滅ぼすつもりだったのだ。


「……おい、41番から50番、今から司祭のジジイに伝令しろ!! 天秤剣を持った男が街に籠城した、仕方ないから街を襲う、と」


「……はい」


 そう頷くと贄と言われた男たちはそのまま、闇に消えた。


「よしよし、これで……俺の行動は正当な行動と判断されるな」


 キザシは剣を取り戻すという大義名分でここに居る、だからこそ、剣を取り戻すために暴れたというなら許されるだろう。何故なら……


「ここで敵を逃したらどちらにせよ、俺の命は無い。おい、テメーら!! 一気にやるぞ!! ぶっ放せ!!」


 キザシの掛け声に残った贄が手を掲げ……炎の魔法を一気に放つ。


 それまで静かであった街に大量の炎が飛翔し……


ーードォン


 街を、爆発が襲った。


***


「な、何だ⁉」


 布団に入り寝ていた俺は、突然の爆発音で目を覚ます。

 何が起きたのか、俺は部屋から飛び出すと……


「レオ!」


 他の部屋からは皆が出てくる……俺以外は普段着で……


「み、皆、寝てたんじゃ……?」

「状況が状況だけに、僕達はいつ何が起きてもいいように普段着をすぐ出せるようにしてたんだよ。主は……?」


 やばい、オレだけ寝間着だ。服もカバンの中にある……


「そ、そんな事より、何が……」

「おい、全員起きたか!? 今すぐこの街を離れるぞ!! この街が、謎の集団に襲撃されている!!」


 この騒ぎを確認しに行ったイザークのオッサンに急かされ、俺達は自分の荷物を持って馬車に向かう……俺だけ寝間着のまま……


 宿を飛び出した俺の目の前に広がっているのは……爆発によって破壊されたらしき家屋、その爆発によって怪我を負ったであろう、この街に残った住人、その住人を庇おうとする兵士、そして……


「コロス……コロス……」


 そんな2人に容赦なく魔法を放つボロボロの黒いローブを来た数名の魔法使いのような者……


「この魔法……中級魔法!? バカな、王都の高等学院に入学するか、または腕の良い魔法使いに弟子入りでもしなければ使えないはず……」


 アリオンがそう言うが、俺にはそんな事はどうでもいい事だ。


 目の前に倒れている人と兵士、別に俺が助けなくてもそれで俺の人生が大きく変わるわけじゃない。平和な世界で平凡に生きたい俺としては、こんな面倒事は避けて暮らしたいのだ、だが……


 俺の心の中のもう一人が、このまま逃げるという選択肢を拒否しているような、そんな感覚に陥った……俺は、こういう時、戦えない人を無視して逃げるような人間じゃないだろう、と……


「レオ、逃げるわよ!! こんな敵、兵士さんが倒してくれる!!」


 姉さんが俺にそう呼びかける。俺が面倒ごとに顔を突っ込みそうだと思ったのだろう。

 皆も俺が無茶しないよう、助けられるようについて来た手前、俺を戦わせないようにしたいようだ、だが……


「……ミナさん、俺の荷物を頼んだ。フェン、お前は皆を馬車に送ってから俺の手助けに来い」


 俺はそう言うとそのまま、兵士と魔法使いの間に単身突撃していった。


「ふむ、ではリリカさん、レオは僕が守ります。申し訳ないですが、僕の荷物を馬車に運んでもらえますか?」


 そんな俺に追随するように、先輩もついてきたようだ。


「そこの不審者、俺が相手だ!!」

「僕も居る事を忘れてもらっちゃ困るね、グリフォン!!」

「ぴぃぃ!!」


 俺達は走りながら、さらに先輩は走りながら剣を抜き、そして同時に叫んだ。


「「変身!!(へんしん)」」


 そんな俺達を、アリオンが悔し気な顔で見ていた事には気が付いていたが今は相手をしてやれる余裕も無い。俺と先輩は、そのまま、戦闘に突入した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ