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第48話 力で劣る登場人物がテクニックとスピードで相手を翻弄する話、大好物です

 レイスは既に勝利を確信していた。


 レオはレイスの予想通り、真っ先に魔法で先制攻撃を放ってきた。


 レイスもひたすらに剣の腕を磨き、魔法使い相手でも正面から戦えるよう、剣の最高峰の技である「魔法の切断」を習得しており、まさに先ほどそれを披露したところだ。


 そして、魔法が効かないと見るや否や、今度はダメ元の直接攻撃である。


 左手1本で木剣を持ち、突っ込んでくる様もスキだらけだ。


 唯一レイスの想定と違ったのは、レオの剣技の腕が予想以下だった事かも知れない。


 剣とは、いかに強く重い一撃を、正確無比に相手に叩き込めるか、そのためには「剣を両手で持ち、全体重を乗せた真上から真下への剣筋を、相手よりも先に叩きこむ」これに尽きる。


 そして、片手で構えてしまうとその軸がぶれてしまうため、奇策に見えて、ただの愚策なのである。


 レオはレイスに対し、横から水平に近い形で剣を振りぬいた。


 確かにこれにはレイスも驚いた、だが、それは自分の勝利が脅かされるが故の驚き、などではない。


 確かに水平の剣筋が飛んでくるとは予想していなかった、斜め上からの軸のぶれた一撃が飛んでくると思っていたのだ。


 だからか、斜め上からの攻撃を受け流し、そのままカウンターで決めようと思っていたレイスは反応が遅れ、そのままレオの水平切りを受け止める事となった。


「君のその奇策で、僕を一瞬だけでも動揺させた事は評価しよう、だが」


 レイスはそのまま全力でレオの水平切りを払う。レオは力負けしてなのか、体が少し浮きながら反時計回りに回転をしている。このままでは反撃もままならないだろう。


 もらった!! と、レイスは確信し、そのまま攻撃態勢に移行、上段からの攻撃で、1発で沈めてやる!! と切りかかったところであった。


「!!」


 レイスは咄嗟に気配を感じたのか、急遽防御の姿勢となる、そして


 カーン!!


 レオが、剣を右手に持ち替え、弾き飛ばされた際の反時計回りの回転の勢いも乗せ、先ほどよりも強い水平切りを放ってきたのだ。


「チッ!!」


 レオはその攻撃を止められ、舌打ちをするとそのまま体当たりを放った。


「な!!」


 完全に剣での打ち合いを想定していたレイスは油断し、そのまま体当たりの勢いで吹き飛ばされた。


 だがレイスもそのまま隙だらけなところを晒すような無能ではない、すぐに立ち上がるとレオに対し向き合い、こう告げた。


「騎士道の欠片もない戦い方してるんじゃないぞ、このクズが!!」


「お前の言う騎士道は、人を不当に貶め、心を傷つける事を平気でやる事か?」


「何を言う!! 小細工など使わずに正々堂々と戦い、正面から敵を退ける!! これぞ騎士のあるべき姿だ!!」


「それなら貴様はもう、騎士ではないな」


「ふざけた事を抜かすな!!」


「ふざけてるのは貴様だ、貴様の我が儘でどれだけの人間が迷惑を被ったと思っている!! 貴様のさきほど放った発言の一つ一つが、どれだけ人を傷つけたと思っている」


「うるさいうるさい!! 俺は正しい!! 俺は正義だ!! ならば、貴様は悪だ!!」


「正義とか悪とかもうどうでもいいよ、ただ、お前は皆の邪魔だ、沈め」


 そこから先の攻防は、まさに、一方的であった。


 レイス自体が弱いわけではない。だが、彼には剣に対しての並々ならぬ執念があった。


 そしてその執念が故、レイスが最強なのは、その剣技で対応出来る相手に対してのみである。


 それに対して、レオは正直、勝てればどうでもいいのだ。


 剣に誇りがあるわけでもなければ、魔法にすらこだわらない。


 今、魔法を封じているのはいわゆる「修行の一環」である。


 レオは動きを途中で止めないよう、動きに連続性を持たせ相手を動きで翻弄する。


 そして、その動きに相手からの攻撃の受け流しなども組み込みながら、加速していく。


 剣筋も、上から、下から、左右から、あらゆる角度からレイスに襲い掛かる。想定外の動きもあろうに、十分対応できているレイスも間違いなく一流の部類であろう。


 だが、レイスはプライドが折れていくのを自覚していた。


 これまで、剣では誰にも負けない、そう自負していたのだ、それが。


「はっ! ほっ! とうっ! ふっ!」


 この、剣の基礎すら出来ていない男に翻弄され、惨めなことに防戦一方なのだ。


 これで相手が魔法でも使ってくれば、まだ体面は保てる。魔法を使った相手に剣だけで挑んで惜しくも負けた、と言い訳も出来る。


 だが、レオは体当たりや蹴り等は使ってくるが、基本的には剣なのだ。魔法を使ってくる気配もない。


「何故だ、何故なんだ!! 僕はこの剣術で魔獣も1体倒した事があるんだぞ!!」


 魔獣を討伐する事など、普通の人生ではまず起こりえない。だからこそ、1匹でも魔獣を討伐したとなれば、それだけで勲章モノなのだ。


 それを聞いて、レオはさらに加速しながら、レイスに語り掛けた。


「それなら俺の勝ちですね。俺は3回で計10体討伐しましたよ、それも素手で」


 変身について伏せると、こういう会話になる。だが嘘は言っていない

 実際レオは、数年前の雪山で計8体、夢の中で1回、ドラゴの力を借りて1回倒している。


「さて」


 ――カン!!


 先程からレイスは少しずつ動きが鈍くなっている、休む間もなく打ち込まれて疲労している、というのもあるはあるが、主な原因はレオの狙いにあった。


 先程からレオは、剣の勝負では有効打とは認められない、レイスの膝や肘に攻撃を当てていた。


 もちろん、肘や膝にはガードがあるため、怪我には繋がらないが、それでも強く打ち据えられると痺れを感じる。


「さて、両肘両膝への攻撃達成、先輩、あんたは今までの相手の中でも」


 レオはレイスの剣に自分の木剣を思いきり叩きつけ、剣を弾き飛ばし


「多少はマシな部類だったよ」


 と告げるのであった。


「両者ともそこまで! 勝者、レオ!!」


 教師がそう宣言する、だがレオは


――ボコッ!!


 無防備になったレイスの頭に木剣を思いきり叩き込む。


 そのまま倒れ込むレイス、だがレオはさらに木剣を振り上げ


「それで、さっき先輩がうちの相棒に手を挙げた時、俺、誓ったんですよ」


「レオくん! やめなさい! もう勝負はついた! 貴方の勝ちよ!!」


 だがレオは止まらない。


「こいつが次ナメたマネしたら、文字通り、『絶対に殺す』と」


 レオは思いきり、レイスに対し木剣を全力で振り下ろす。


「主!」「おいレオ、やめろ!!」「レオ!!」


 レオの木剣は知り合いの叫びを受けても止まらない。加速した木剣は倒れたレイスの頭の


――バキッ!!


 わずか横の地面を叩きつけ、その勢いで木剣は折れた。


「ああ!! スッキリした!!」


 すごくいい笑顔で汗を拭うレオ。


「……殺すと言いながら、最後の最後に慈悲をかけたのは何故だ?」


 レイスはレオにそう問いかける。


「別に慈悲をかけたつもりはない。せっかく勝ったのに、あんたに命令出来なかったらただのくたびれ儲けだから、それだけだ」


「そう言えば、そんな約束もしてたな……」


「命令だ。今後俺たちに対して過度な接触は禁止だ。そして、相手の力量を正確に見極められなかったんだ、学年首席の座を降り、クラスも降格。お前の実家からうちの実家に対しての正式な謝罪と賠償を寄越せ」


「3つじゃないか」


「お前への命令は『過度な接触の禁止』の1つだけだ。クラス降格は学校の判断、実家への謝罪と賠償は、お前の実家がやる事だ」

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