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第118話 DXレオソード製造計画

 薬師連盟から大金貨500枚を受け取った俺は、後日残りの2,000枚の受け取りをする約束をしてからそのまま次の目的地に向かう。


 いやぁ、1枚だとそれほどでもないのだけど、500枚も大金貨を持つと重さにびっくりするものだ。


 さて、次に向かうのは鍛冶師連盟。これについては銀狼杯出場するにあたり重要な事でもあるのだ。


 話は数日前にさかのぼる。


***


「この、銀狼杯の使用武器無制限というのは、武器を自分で用意しろという事ですか?」


 エントリーの受付をしているお姉さんに俺はそう問いかける。


 こういうのは大体、事故などを減らすために規定があったり、訓練用の木剣や刃を潰した剣なんかを貸し出すものだと思っていたのだが。


 実際、魔導杯は杖を含む武器の使用を禁止、金獅子杯は木剣の貸し出しをするようだ。


「ちょっと調べますね……ええ、おっしゃる通りですね。剣や魔法に拘らない技術の発掘という意味合いもあり、金獅子杯で使われる木剣の貸し出しをしてもいいのですが、個別の武器がある方は使ってよいそうです」


 多分、ただの魔法でもない、剣技だけでもない、第三の戦い方を模索したいということなのだろう。今回が初回ということもあり手探りなのだろうか?


 そう考えると、今回の参加者も少なそうだ。新設の、さらに規定も曖昧な競技。これに参加するのは、魔法も剣もそんなに得意じゃないからと逃げの姿勢の人間か、または参加者が少ないから優勝も楽だろうという、甘えた考えの人が殆どだろう。


ーーまあ、今は俺が参加するからそんな甘えた人間は許さんがな。


 銀狼杯優勝者を名乗りたいなら、俺を倒せという事だ。俺を倒せない人間に、狼の付く称号はやらん!!


 しかし、俺が卒業した後も続く場合、根性の入ってない輩が集う大会にされても困るなぁ。フェンをバカにされてるような気になる。


 優勝するだけなら木剣を借りて優勝してしまえばいいだろう。変身はしないものの、戦闘経験はあるし、スバル達から戦い方を教えてもらうつもりだからな。


 だが、それでは駄目だ。紛いなりにもフェンの名を冠する称号なのだ、それを獲得するために参加者に本気を出させるよう、そして、参加者が増えるようにしなければ。


 相棒が軽んじられているようで腹が立つのだ。皆が本気で取り合うような、そんな大会にしてやらねば……。


「それでしたら、マスターが魅せる戦いをすれば人気が出るのではないですか?」


 夜、寝る前に精神世界に行き、スバル達にそう呟いたところ、スバルがそう返答してきた。


「魅せる戦い……ってなんだ?」


 敵を倒す事に魅せる要素が必要か?


「マスターは、私を倒した時に言ってましたよね?美しい剣舞だと。マスターがそう思われたように、見てる人がそう思える戦いをすれば、マスターにあこがれた実力者が次々に現れるのではないですか?」


 なるほど……だが、魅せる戦いとは……


「魅せる戦いか……暗殺剣は目立たない戦い方だから、俺は役に立たないかもしれないな」


 スバルは体幹とかを鍛えると言ってくれた。イワンは魔法、武術はキザシから指導を受ける予定だったが、キザシから教えられる剣が使えないとなると……ちょっと辛いかもしれない。


「いえ、普段は目立たない暗殺剣を皆の前で披露する、それはそれで物珍しいものですから問題無いと思いますよ。あとは派手に戦う姿を見せればと思うのですが……」


 と呟き、そのままイワンが顎をさすりながら考え事に耽る。


「おいおい、暗殺剣で人の目を引くって事か? 何か矛盾してないか? マスターとスバルちゃんもそう思わないか?」


「私のトウヨウの舞踊を応用すればあるいは、とも思ったけど、多分、キザシさんの暗殺剣とは相性が悪いでしょうし……」


「そもそも、そんな複数の技術をマスターに叩きこむ時点で負担が大きいと思うぞ。それに上乗せして、基本から外れた新しい戦いをマスターにさせるのは厳しいだろう。せいぜい、複数の戦闘技術を切り替えて使いこなすのが精々だと思うぞ」


 確かに、これから3人に教えを乞うとは言え、大会まで1月も無い。その上、3人に教わるのはこの精神世界の中だけで、身体的な訓練はその精神世界で教えられたものを元に、俺が一人で再現しなければならないのだ。


 出来るのだろうか、俺に。


「戦闘技術を切り替える……その時に使う武器……それ、いいかもしれませんね」


「はぁ?」


 イワンが何か妙案を思いついたようだが、一体何だろうか?


「マスターには、複数の戦闘スタイル、そうですね……スバルさん、貴方が使う普通の舞踊、例えば、剣以外の小さな道具を使い、踊りながら敵を倒すような技術はありますか?」


「私が教えられる範囲であるなら、鉄扇を使った格闘舞踊があるわね」


 スバルはそう言うと、手の中に鉄でできた板を複数枚つなぎ合わせたような道具を具現化する。ここは精神世界、想像したものを具現化して目の前に出す事も余裕なのだ。


「そして……キザシさんは暗殺剣の双剣ですよね?」


「あ、ああ」


 キザシはスバルに続き、双剣を取り出す。


「そして私は魔法ですが……杖でなく、弓の形から打ち出す魔法にしましょうか。弓を射るわけでないから、形だけを弓みたいにして、素材は鉄でもいいでしょう」


 そう言うと、イワンは手に弓を持つ。だがその弓は鉄で出来ており、弦が張っていない非常に変なものである。


「え? もしかして、スバル、イワン、キザシの技術を披露するためにこの3つの武器を持ち歩けという事なの?」


 単純に嵩張るし、嫌なんだけど。


「そう、全てを別々に持ち歩くと大変です、だけど……もしこれが一つなら?」


 お前は何を言っているんだ、と言おうとしたところ、スバルとキザシがそれに感心したような声を上げる。


「なるほど、そういう事ですか。それなら基本は扇が良いでしょうね」


「いやでも……そうか、双剣の形に拘らなければ……」


 いや、マスターは、戦うのは俺なんだよね? 何3人で分かり合ってるの?


「マスター、武器を作るのにもしかしたら結構なお金が必要になるかもしれませんが、特注で作って欲しいのですが」


「いや、お金についてはある程度はいいけど……ちょっと3人で何を確認してたのか、教えてもらえないか?」


 本人が理解してないのに話を進められても困るのだ。


 イワンが「あっ」といった表情をした後に語ってくれた。


「これは失礼しました。マスターには、スバルさんから鉄扇を使った格闘舞踊、キザシさんから双剣の暗殺剣、そして私から魔法を学んでもらいます。そして、その際に使う武器は、1つのみ……1つの武器を扇、双剣、弓と切り替えながら戦うスタイルを提唱します」


……んん?


「武器の切り替えなら、マジシャンの剣と杖でも事足りるのでは?」


「いえ、あくまでマスターが卒業した後も大会レベルを維持する事を目的にするなら、特注とは言え、人の手で作る事が出来るものである必要があります。そして目まぐるしく変わる武器の形、これは注目を集めます。後はマスターの活躍次第です」


 なるほど、武器の制限が無い事を逆手に取って、変わった武器を用意して注目を引くというわけか。さらに、複数の技術をその変わった武器で全てこなすと……考えとしては面白い。


「武器の設計は3人で進めておきます。次のマスターの休暇までには間に合うと思いますので、お手数をおかけいたしますが、マスターは休暇の時に武器製造の手配をお願いします」


***


 そして現在、俺はその武器の製造が出来る可能性が高い鍛冶師連盟を訪ねていると言う訳だ。しかし、渡りに船と言った感じだ。薬師連盟から紹介状をもらえたので、門前払いといった対応はされないだろう。


 話を聞くと、大体の教会、連盟は相互に提携をしている関係上、紹介状で紹介する事はよくあることだそうだ。薬師連盟に恩を売ってた事が、まさかこんな繋がり方をするとは……


「ごめんくださーい!!」


 おおよその設計はイワンから教えられている。あとは……鍛冶師連盟を通じて、腕の良い鍛冶師を紹介してもらえるか……せっかく3人が設計してくれた武器だ、マスターとして実現させなければ。

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