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第109話 8番イザーク愛で打つ

「お前らを信じる……決めてくれ!!」


 レオはそう宣言するなり、両手を軽く外に開き、両の掌を上に向けるポーズのまま動かなくなった。敵が動かないとはいえ、そんな無防備な姿をさらすのは仲間を信じているから、であろうか。


 それならば、とレイス、イザーク、アリオンはお互い顔を見合わせ、深く頷き合う。


「行きましょうか、信頼されてるなら、それに応えなければ騎士ではない!!」


 とりあえず、自分たちがやらなければ終わらない。ならば、やるだけだ、とレイスは深く腰を落とし構える。


「しっかしレオのやつ、この必殺技名……ひでぇなこれ」


 心底呆れた、といった感じの声を出しながら、レイスの真似をしてアリオンも腰を深く落とす。


「今言っても仕方ない、やるぞ!!」


 イザークはそう言いながら、レイスとアリオンの後ろに行き斧を構える。だが、構えは刃を上方に構えてはおらず、やや下方に下げている。さらに、そのまま敵に斬りかかるような状態ではなく、まるで下方から上方に切り上げるような体制だ。

 さらに、斧の刃の平たい部分で叩き上げられるように構えも横向きである。


 そのまま、レイスが「とうっ!!」とその場でジャンプする。そしてそんなレイスをイザークが「うぉりゃぁぁぁ!!」と斧の刃の平たい部分で上の方に叩きつけ遥か上空に飛ばす。


 レイスはそのまま、イザークの斧によって遥か上空に叩き上げられていた。


「ひぃぃぃぃ、先輩、怖くないのかなぁ」


 アリオンがそんな感じで上空に消えていったレイスを見ていたが、そのアリオンの肩をトントン、と力強く、イザークが叩く。


「よし、アリオン。次はお前だ。覚悟を決めろ」


 なんだかちょっと楽し気なイザークの声が聞こえ、アリオンは内心「ひぇぇぇぇ」と逃げたい気分に駆られたが、そんな事も言ってられないのだ。


「よ、よし。と、とぉ!!」


 どこか締まらない掛け声でその場で跳躍をしたアリオンをイザークが


「おりゃ!!」


 と、レイスと同様上空に叩き上げる。


「う、うわぁぁぁぁぁ!!」


 と情けない声を上げながら、アリオンも上空に消えていく。


 3人の名誉のために言っておくと、別にイザークがレイスとアリオンに怒って折檻したわけではない。レイスとアリオンも、皆が止まってる様子が面白くてはしゃいで跳躍したわけではない、


「さーて、いきますか」


 今地上に残っており動けるイザークが、肩をコキッ、コキッとし、斧を構える。


 そのまま前方に走り勢いをつけ、斧を大きく振りかぶり斧を横なぎに勢いよく振り抜こうとするが、その斧の刃は先程までの実態のある斧の刃ではなくなっている。


 赤く光っている。その刃はレオの変身したフェンリルナイト・カスタムが使う赤く光る剣、ではないものの、斧の刃は赤い光の刃となっている。つまり


――物理的な障壁を貫通する斧に


 そう、レオが3人にサポートとして与えた能力それは、時を止め(厳密には超高速で動いているだけだが)ただけではない。

 各自の武器に物理防御無効化の能力も貸し与えている。


 さらに、斧が敵に届く、その瞬間になって、赤い光の斧の刃が巨大化した。もちろんこれも、レオのサポート効果である。


 巨大な敵に対して普通サイズの武器だと中心まで届かない。よってレオは武器の巨大化もやってしまえ、と考えたのだ。


「うぉぉぉぉぉぉ!! 茶色のぉぉぉぉ!!」


 必殺技の一部を叫びながら、巨大な斧を横に一閃。その斧刃全くの抵抗無く巨大な亀の甲羅、体を貫通し、イザークはまるで空振ったような奇妙な感触を受ける。


 本当にダメージを与えているのだろうか、亀が動かないため、リアクションからダメージが通っているかは分からないが、今は


「今はレオを信じるか。 あの、目の前の他人まで放置せずに助けようとしたお人好しを、な……」


 かく言うイザークも、魔獣の集団に追われている若者を何の見返りもなく助けた事がある程度にはお人好しなのではあるが。だからこそ、目の前で苦しんでいる人が居ると助けずにはいられないレオの気持ちも分かるのだ。


 そして、まだ後継者という立ち位置ではあるものの、自分の治める土地でもないのにそこの住人の為に戦ったレイス、アリオン。


 自分の居る街が襲撃されているというのに、避難所で怖がる住人に一人一人声を掛けて落ち着かていったという、王族に連なる3人、シャーロット、ミラ、キャロル。


 イザークには政治は分からぬ。

 イザークは平民の御者である。

 馬を引き、荷駄人員を運び暮らしてきた。

 けれども善意については人一倍敏感であった。


 だからこそ分かる。少なくともあの瞬間は街の人たちから見れば、どんな善政の王よりもあの3人の方が支持されるだろうと。


 もちろん政治的やり取りや打算、陰謀等が絡む政治の世界に善人がふさわしいわけでも無い。あの場はさっさと逃げてしまうのが王族として正しい姿なのかもしれない、それでも……。


 打算無しで、困ってる人を放置出来ない奴らなのだ。こう言ってしまうと、レオが危険に首を突っ込む事を嫌がるリリカが悪人みたいな言い方だが、そう言う訳ではない。


 その中でも、レオが突出して首を突っ込むので、それを止めたいだけである。現に、この戦いでも女性陣をまとめて先頭に立っている。


 まあ、リリカがそんな性格なので、リリカを守ろうとレオがさらに前に出る悪循環のようなものが生まれているのだろうが、とイザークは思ったが黙っておく。


 危なっかしいが、それが彼ら彼女らの良い個性だと思っているのだ。結局のところ、ここにいる全員、お人好しなのだ。


――まあ、見守ってる側からすればたまらないんだけどな。自ら苦難に足を突っ込むような奴ばかりで、と思いながら上空を見上げる。


 目を凝らすと、遥か上空から2つの小さな点が見え、その点がちょっとずつ近付いているように見える。


 親友の為とは言え、上空に放り出される事を受け入れるあいつらもホント、お人好しだなぁと思う。


「レイス、アリオン、後は頼んだぞ」

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