第108話 4人のコンビ
「おら!! 亀!! これでも食らえ!!」
アリオンが水の魔法をひっくり返った亀の腹部の上に展開する。先ほどまでは水の魔法を怖がっていた亀だ。これを見て大人しくなるか……?
「グガァァァァァ!!」
その水の魔法を見た亀は、その魔法から逃れようと先ほどより大きく暴れ出す。何か水に対して痛い目を見ていて、それから必死に逃れようとしている。
ひっくり返った甲羅がそのまま右に、左に、と大きく揺れ、せっかく無力化した亀が元にもどろうと……
「やばい!! レイス!! 抑えるぞ!!」
「ああ!!」
右に左にと徐々に揺れ幅を広げ、仰向けから復帰しそうになる甲羅をオッサンと先輩が押さえつける。だが……このままでは持久戦だ。
そして、一晩戦った直後の先輩とオッサンが、この大きな亀をずっと押さえつけていられるかと言われると、それは怪しい。
ここはどうしても、短期で勝負を決めなければならないのだ、だが、その突破口は……
「何かないか、何か!? 逆転の一手」
アリオンがそう呟きながら思考を巡らせている。亀を倒す方法を考えているのか。
倒す方法、になるかは分からない。そもそも何故追加されたのか分からないが、試すしかないか……。
「悪い、少し時間稼いでくれ!!」
俺は先輩たちにそう声を掛けると、すまほをいじり始める。
その光景は一生懸命大きな怪物と戦っている人間を横に、それを無視して本を読んでいるかのような異様な光景な気もするが、これが反撃のためのキッカケになるのだ……多分。
そのすまほで何をしているのかと言われると、コンビネーション設定で先輩たちを選んでの設定を試しているのだ。
どうも、コンビネーション設定のうち、幻獣とコンビを組んだ場合、基本的に幻獣がサポートに回り、俺が動くことになる。だが俺は今動けない。
何気に人間とのコンビネーションなのだ。これを見て思ったのだが、力の強い幻獣の力を借りるのなら分かるが、同等の人間から力を借りる、とはならないと思う。
それならば、このコンビネーションというのは何なのかを考えたのだが……
別に、コンビネーションは主従である必要も無いわけだ。同格のコンビネーションとした場合、もしかしたら……
俺の力で、3人をサポートできるかもしれない。
目の前には3人が時間を稼いでおり、そして後ろからは魔法が飛んでいる。
風が吹き、土が亀の動きを止めようと隆起する。亀の手が地面に触れそうになったところを氷が覆い、踏ん張れないようにしている。
皆が頑張ってるんだ、それならば……頼む……勝ち筋、残っててくれ……
すまほの画面の技設定の待機画面の棒が徐々に伸びていく……この時間が長く感じ、非常にじれったい。
もうちょっと、もうちょっと……
コンビネーション設定が……完成した。
だが、問題はその中身。俺が主体で動く技であれば今回は使えない。俺は技の概要を確認する……。
どうやら、俺の魔力的な物でサポートしてから3人で戦う感じの技のようだ。
よし、俺は適当に名前を設定し、そのまますまほを腰にセット。あとは必殺技が発動するまでの時間を皆で耐えられるかだが……
「イザーク!! アリオン!! サポートしてくれ!!」
「応!!」
「おら!! 滑ろ滑ろ!! 氷の床で滑れ!!」
前の方にいる3人は全力で亀の起き上がりを阻止している。後ろは
「ロゼッタ!! ありったけに水をばら撒きなさい!! 濡れた氷の方が滑るのよ!!」
「分かりました、お姉様!!」
「私とセラ先輩が氷をばら撒くから、お姉ちゃんは風でばらまいて!!」
「わ、分かったわ!!」
こんな感じで皆が全力で抑えているのだ……
ほんと、信じると言っておきながらも何疑っていたのか、俺は。
信じたのだから、最後まで信じ切れよ。
そして、発動のタイミングを迎えたその時……
世界が、止まった。
正確には、俺と、先輩とオッサン、アリオンだけが動いているのだ。
「な、何だこれは!? また敵の攻撃か?」
その異変に3人とも気が付いたのだろう、慌てているようだが、そんなに余裕があるわけではない。
「落ち着け、これは俺の必殺技だ」
3人にそう声を掛ける。俺の声を聴いた3人は一旦ほっとしたような様子を見せ
「この技の使い方、多分皆に伝わってるとは思うが、攻撃の主体は俺じゃない、それは、3人に任せた」
そう、いくら時間を止めようとも俺が体をまともに動かせないため、俺が動く訳にはいかないのだ。
だから、俺はここからサポートに回るわけだ。あとは
「お前らを信じる……決めてくれ!!」
俺達の力、4人のコンビプレーだ! 見せてくれ、皆。




