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第103話 強い亀

 熱湯の雨、これは司祭の動きを止めるに十分な成果を上げたようだ。


「あつい、あついっ!!」


 司令塔であった司祭の動きが止まった上、熱が下の亀にも伝わったのか、首や手を引っ込めて動かなくなったため、意図せずして進軍を止められたのも大きいし


「う、うわぁぁぁ!!」


 手足を引っ込めてもまだ熱いのか、亀が甲羅の中で暴れているようだ。不規則に揺れ暴れる甲羅の上で熱さに暴れる司祭が踏ん張れるわけでなく……


 ゴロゴロゴロ、と亀の甲羅から転げ落ちる司祭、そしてその亀と司祭を守っているはずの魔法使いは


「はぁぁぁぁ!!」


 前方の2人は動かなくなり、そのままレイスに切り伏せられた。


「どっせぇぇい!!」


 後方も、指示を出す司祭が転げ落ちて指示を出せなくなったせいか、1人ずつ切り捨てられる。イザークが1対1に持ち込めるよう、リリカたち魔法使いは支援をしているのに加え、前方を制圧したレイスも助っ人に入り、アリオンも合流し、対魔法使い戦はレイス達の圧勝となった。


「あ、熱い……はっ!!」


 熱湯の雨に襲われ熱さに悶えていた司祭であったが、ふと気が付くとそこには謎の服装の人間が3人と、その後ろで控えてる若い女性魔法使いの集団である。


 対して司祭の手持ちの戦力は、魔法使い集団が全滅し数的には不利である。


 だが……そう、手持ちの戦力には大型の亀の魔獣が居る。


「やれ、そいつらを踏みつぶせ!!」


「ぴぃぃぃぃぃ!!」


 先ほどの熱湯攻めで自分も痛い目に遭ったのが腹に据えかねたのか、大亀も全力でレイス達を襲撃しようと、前足を両方とも振り上げて、そのまま両の足で踏みつぶそうとしてくる。


「!! 皆、下がれ!!」


 レイスは皆にそう指示を出し、皆は亀の攻撃の射程圏外に逃れたはずだったが……


――ズシィィィン


「うぉっ!!」

「キャッ!!」


 亀の着地の衝撃か、地面が大きく揺れる。


――ピピピピッ


 近くの木に留まっていた取りがその衝撃に驚き飛んで逃げ、その地面の揺れでほとんどの人間は歩く事すらままならない。


 下手に歩こうとすると、そのまま転んで倒れてしまうのだ。


「はっはっは!! この魔獣の力、思い知ったか!!」


 司祭は膝をつき、転ばないようにその様子を見守っている。先ほどの危機感を感じていた状況からは一転、司祭優位で事が進んでいる、そんな状況であった。


「くっ!!」


 亀だけはその地面の揺れの中、平然と前に進んでくる。一歩一歩、逃げられないレイス達を追い詰めるように。


 そして、数歩歩いて地面の振動が止まっると思ったら……


 亀は両足を振り上げ、そのまま地面に叩きつける。


――ズシィィンン


 こうやって地面を揺らして動きを完全に封じ、ゆっくりゆっくりとレイス達を追い詰めていく。


 こうして亀が最初に射程に収めたのは、リリカと、シャーロット。


 ちょうど左足の着地地点にリリカが、右足の着地地点にシャーロットが、まともに歩けない状態で居た。


 妹を、そして年長者として後輩を逃がそうとした結果少し逃げ遅れ、変身した3人よりも若干亀に近い所に居たのだ。


「このぉ!! シャーロット、最後まで諦めちゃ駄目よ!!」


「分かってる!! 皆には絶対に危害を加えさせない!! 私たちが止めなきゃ!!」


 リリカは風の魔法で亀を押し返そうと、シャーロットは土の魔法で亀の腹部あたりに石の支えを作り、落下しないように支えようとするが。


――バキバキバキッ


 石も風も、亀の落下速度を落とす事は叶わない。亀が想定以上に重いのだ。


「お姉様!!」

「逃げて、お姉ちゃん!!」


 ロゼッタとミラがその様子を見て叫ぶ。まさに絶対絶命。


 それでも、リリカは諦める事はなかった。


 自分にはどんな時でも諦めない、往生際の悪い弟が居る。だからこそ、姉としては負けてられないのだ。


「シャーロット、顔を上げて、最後まで足掻きなさい!! あんたが弟くんと呼ぶ弟は、どんな時でも諦めない!! 姉を名乗りたいなら、その弟に恥じない根性見せなさい!!」


 リリカがそんな事を言い始めるので、シャーロットは驚いてリリカの方を見、そして……笑った


「弟を持つお姉ちゃんも、大変なのね。任せなさい!!」


 そう言うと、シャーロットは土の魔法で続けて岩を生み出す。

 その岩も亀の重量で砕かれるが、その砕かれた傍から岩を生み出す、そして、それを繰り返す。

 その甲斐あってか、亀の落下速度がわずかに落ちたような気がした、だが、自分たちが逃げるほどの余裕はまだない。


 このままでは自分たちは潰されるだろう。でも、精いっぱい足掻いた結果、少しでも抵抗が出来たのなら、あとは……そのわずかな隙間から、勝ちを拾いにいけないだろうか!?


 そんな思いも空しく、2人が亀に押しつぶされそうな、そんなギリギリのところまで亀は落下してきている。


 だが、そんな最後の抵抗に神が微笑んだのか、そんな二人の間から亀の腹部に何者かが飛んで来たかと思うと……


――チャージコンプリート


「ドラゴンキック!!」


 炎を纏った上方への蹴りを受け、亀はそのまま押し返され、ゴロンと後ろに飛ばされたかと思うと、そのまま一回転して再び着地をした。だが、リリカ達とは十分に距離が離れたようだ。


 だがその窮地を助けた男はその場に膝を着くと、光に包まれる。

 それまで蓄積したダメージからか、強制的に変身が解かれたのだ。


 その姿は、皆が見た事のある人物であり


「レオ……」

「弟くん」


 馬車で休んでいるはずの、レオその人であった。

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