文化活動発表会2日目
今日は9月19日、文化活動発表会2日目。
昨日は劇で、今日は作品展示。
と言ってもクラス全員で回るため、殆ど自由に回れない。
結局、あーちゃんと話すこともなく、家に帰ったのだった。
折角だからと、彼にメールすることを思いついた。
まだ一通も送ってないし、とりあえず何でもいいからメール送らないと。
何て送ろうか。
『さっきは偶然だったね』
“さっき”ってもう2時間以上経ってるよ。
『メアド、交換してくれてありがとう』
何で感謝してるのよ私!
嬉しかったのは確かにその通りなんだけれども!
『・・・・・・』
どうしろと?!
メール初心者の私にいったいどうしろと?!
ハードル高すぎませんか?!
・・・あーちゃんに電話してみよう。
「もしもし」
「あ、あーちゃん。
昨日はありがとね、手をまわしてくれて。
お陰でメルアドの入手に成功したよ。
で、早速橘くんにメールを送りたいんだけど、そうは問屋が卸さないって感じで・・・
簡単に言うとね。
どんな内容の文章を送ればいいか分からないんだよ。
私のこれまでの人生と言えば趣味にどっぷりと浸かっていただけだったし、メールだって初めて使うし、まぁ、LIMEは使ってるけど。
こんなことならメールのやり取りの練習でもしておくんだったよ。
何て送ればいいんだろう。
『お元気ですか。』とか?
いやいや、固すぎだって。
会話感覚でいいのかな?
それこそLIMEみたいな感じで。
でもそれだと履歴が嵩むだろうし・・・
これじゃあまるで、卸さないのは“問屋”じゃなくて“私”みたいだね、あーちゃん」
「あのねぇ、『みたいだね、』なんて聞かれても困るんだけど。
というかそこに至るまでに約280文字も使ってるって分かってる?
この会話こそメールでするのが効率的だって分かってる?
こんな話を電話ですること自体が間違ってるって分かってる?」
あれ?あーちゃん機嫌悪いなぁ、どうかしたんだろ。
何か嫌なことでもあったのかな?
「あーちゃん、何かあったの?」
「あったわよ!というか現在進行中なんですけど、現在進行形なんですけど。
何で日付が変わる5分前に電話掛けてくるのよ!」
どうやら私のせいだった。
閑話休題
そういえば気になることが有ったんだった。
「そういえばさ、あーちゃん」
「話を逸らすな、というか私のクレームを無駄話にするな!本題復旧だ!」
新しい言葉ができた。
そこまでして私に怒りたいのか、あーちゃんは。
まぁ、橘君へのメールの内容に今まで悩んでいた私が悪いんだけどね。
「あーちゃんは何で橘君の事を“橘君”って呼んでるの?」
実は気になっていた。
”橘のこと、好きなの?”
あの言葉を最後に、彼女は彼の事を“橘君”と呼ぶようになっていた。
「え?あぁ、そんなこと気にしてるの?」
「うん、まぁね、何となく違和感があったから」
「特に意味は無いよ、強いて言えば」
強いて言えば?
「ミサが彼の事をそう呼んでいるから、かな」
「私?」
「いや、やっぱり関係ないかな」
「あ、誤魔化そうとしてる?」
「もう私眠いから、おやすみふぁ~」
電話を切られた。
結局日付変わっちゃったのか。
時計は12時丁度を指している。
それにしても引っかかる。
何故、誤魔化すなんてマネをしたのだろうか。
私の勘違いか?
いや、でも。
「もしかしたら・・・」
彼女は何かを隠している?
いや、さすがに考え過ぎだ。
これはきっと最悪の結末を迎える。
今は考えたくない。
私もそろそろ寝よう。
そう思ってベッドに入ろうとすると、私の部屋の扉がノックされた。
「美沙?まだ起きてるの?好きな人にアピールするのは良いけど、時間も考えなさいよね、お母さんはもう寝るからね、おやすみ」
え?今なんて?
“好きな人”って言った?
まだ誰にも言っていない筈なのに。
あ、もしかして橘君と別れた後、私、玄関で・・・
――声に出してたかも?!
何とも不用心な私だった。
その後、母親が彼についてしつこく聞いてくるのは目に見えていた。
似たような経験をお持ちの方には、最善策をぜひご教授願いたい。
いるなら今すぐにでも会って話をしたい!
え?何故そこまで必死になるのかって?
いくら何でも言いすぎだって?
だってさ、目が合うたびに言ってくるんだよ?!
「ちゃんとアピールしてる?」
「もう付き合ってるの?」
って。
噂好きの女子高生かお前は?!
まあ、私は女子高生を知らないんだけどね。
女子中学生だから。
恋する中学生だから。
まあ、人の噂も75日って言うし・・・
ん?あれ?75日ってことは2ヶ月半?!
な、長くないですか?
い、いや、アニメ1クールより短いんだから大丈夫!
そんな事より。
彼を好きになってしまったからには、やっぱりお付き合いしたいよね。
いろんな話をしたり。
一緒に登校したり。
デートに行ったり。
頑張らなきゃ。
この恋は、きっと本物なのだから。