表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アオハル部へようこそ。  作者: 空姫
2/3

春〜始まり〜

俺の名前は高橋 涼真(たかはし りょうま)


この春、高校入学したての新一年生。


訳あって地元の高校には行かず、山の中にポツンとある少し…いや、かなり田舎臭い高校を受験した。


無事合格し、今日からこの少し…いや、かなり田舎臭い高校の生徒の1人となったのだが…


入学早々、俺はこの高校を選んだ事を激しく後悔している。


どうしてかって?


理由は簡単。

HRで担任から配られた

【学校生活での規則および決まり】

とかいうプリントの中に、俺の目を疑う項目があったからだ。



この学園で生活する全生徒は必ず部活活動をする事。



この文章を読んだ瞬間、俺は本気でこの学校を辞めようと思った。




全生徒必ず部活活動をする?

意味が分かんねぇし。

なんで強制的なんだよ。

大体、俺は高校では部活なんかしないで静かに大人しく、出来るだけ影を薄くして過ごしていたいんだ!

誰とも仲良くなるつもりもないし、部活なんてもってのほかだってのっ!

何の為にこのど田舎のダッサい学校に受験したと思ってるんだ!冗談じゃないっ!




何処にぶつければ良いのか分からない感情を、プリントを握り潰すことで抑えた。




「…あれ?もしかしてアンタ、高橋 涼真じゃね?」




急に後ろから誰かに話しかけられ、俺は身体をビクッと震わせて恐る恐る振り返る。




「やっぱり!アンタあの 高橋 涼真 でしょ?東中の!」



「…っ!」




俺は言葉を失った。




誰だ?何故コイツは俺の事を知っているんだ?

この高校に東中の奴はいないはずだろ?

他の中学の奴だとしても何故俺の事を知ってるんだ?




「…ってか、アンタめっちゃ雰囲気変わったな。メガネなんて掛けてたっけ?髪型だってもっとイケてる感じだったよな?なんでそんな前髪伸ばしてんの?まるで人に顔を見られるのが嫌みたいに見えるんだけど。笑」




目の前にいる茶髪で見た目チャラそうなこの男は何故、昔の俺を知っている?


俺の頭の中はパニック状態。


記憶の中に、この茶髪チャラ男の姿を探してみても全然記憶には無くてむしろ、いや絶対に初対面だと思うんだが…




「…アンタ誰?」




喉の奥から絞り出すような声で尋ねてみた。




「へ?あ、俺?俺は西中の遠藤司(えんどうつかさ)!ま、アンタが俺の事知らなくても当然だよな。別中だし。笑」




あはは。と豪快に笑う遠藤とか言うこの男。


俺はコイツを冷めた目で見つめ、これ以上離したくはないと前を向く事で意思表示した。


…が、コイツはまだまだ俺と話がしたいらしい。




「ちょ、ちょ、待った!待った!何で前向いちゃうわけ?まだ話は終わってないってのっ!」




俺の肩を前後に激しく揺すり、こっちを向けと言ってきやがる。


冗談じゃない。俺はお前なんかと話す事は何も無いんだよ。




「…話って何。」



「え?」



「いや、だから話って何だよ?俺は話す事なんて何も無いんだけど。」




俺の冷めた視線に茶髪チャラ男の遠藤司は驚きを隠せないって顔で俺を見てくる。




「…え、アンタ…本当にあの高橋涼真…だよな?」



「…あの高橋涼真って何だよ?人違いなんじゃねぇの?意味分かんないんだけど。」



「いや、いや、いや!見間違えたりしねぇって!やっぱりあの高橋涼真だろ?どうしちまったんだアンタ…なんか…あったのか?いくらなんでもイメージ変わり過ぎだって。」




あーイライラする!

何なんだよコイツ!

俺は昔の俺とは別人なんだよ!

昔の俺は捨てたんだ!

昔の話なんかしたくない。




「…ほっといてくんない?俺、昔の話はしたくないんで。」



「へ?…っ、何で?」




目を丸くして俺の顔を覗き込む遠藤を俺は思いっきり睨み付けながら「アンタには関係ない。」と冷たく突き放した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ