御崎町とかね。
千文字分。
太陽が沈みかけてる時。空は暗い水色。
「あそこ、煙が出てる」
桐木が指さした方角には確かに煙が出ていた。
「結構近いね」
5人は場所を確認した後、もうじき夜になるので明日出発しようという話になった。
早朝。空は前と同じ暗い水色。出発した。
太陽が高いとこまで昇った時分。
方向を確認しながら慎重に進んでいた。
汗ダクダク。暑い。
水の確保も重要だと思いながら空腹になったので5人は昼食を摂ろうとした。
食べる前に気付く。
「あれ……これ……?」千登里がゆっくり近づく。「ビワ?」木から果物を取って食べる。「ビワだ」
他の4人もビワを取って食べる。
「うまっ」
「おいしい」
「…………」
「この島で果物はありがたい。ビタミン摂取に持ってこいだね」
ムシャムシャムシャ。
食べる。食べまくる。
自然と皆に笑顔がこぼれた。自然の甘味が嬉しかった。
「おい、何勝手に食べてる?」
食べるのに夢中で気付かなかったが近くにリュックを担いだ3人の男が立っていた。
3人の腕には黄色の布が巻かれている。
男Aは5人の腕に布が撒かれていないのを見て無所属であることを確認する。
「今食べたビワは許してやる。それ以上食べるなら覚悟しろよ」
固まる5人。
千登里が言う。「あの、俺達、一昨日にこの島に来たばかりでこの島がどういうところか全く分からないんです」
「ここは御崎町だ。無所属がこの町を侵すなら攻撃する。もし、俺達の町に入りたいなら着いてこい」
千登里は考える。「ビワを勝手に食べたのは謝ります。すいません……。今は、まだ良いです」
千登里は3人に背を向け、来た道を戻り出した。4人も警戒しながら千登里について行く。3人は彼らを襲わず、視界からいなくなるまでジッと見ていた。
5人はある程度戻ってきた。
「こえーーー」千登里は息を吐く。汗がドッと出る。「なんだよ。自分たちのテリトリーって主張するならここから御崎町って看板でも立てといてもさぁ……」
「これからどうします?」桐木が尋ねる。
「御崎町を調査する。まともな所なら彼らの仲間になろう。俺一人で行ってくる。あの人たち攻撃的だったし、5人で行ったらそれだけバレやすいし、それでバレて攻撃されて全滅ってことも全然ありうるし」
「わかりました。じゃあ俺達、川辺に戻ってます」
「あと、もしも俺が1日経って帰ってこなかったらその時は皆で行動して」
千登里は相手との戦闘が避けられない状況になった時に戦うのに小さめのナイフをポケットに入れて出発した。ビワの在ったところにやってきた。男たちはもういない。
千登里は方角を確かめながら前に進んで30分。
高層アパートがだいぶ大きく見えてきた。