四話 『再会』
俺は今、持っている剣を眺めながら悩んでいた。
――何故こんなにも人類は衰退したんだ?これだと魔物とかの襲撃に耐えられないじゃないのか?
俺が悶々と悩んでいると持っていた剣がピシッ!と音をたててひびが入ってしまった。
「え?」
――いやいや。ちょっとしか剣覇纏ってないからな?……ちょっと脆くなってないか?
「あちゃー。剣にひびが入っちまったな。これはもう使えないな」
ローダスが後頭部あたりをガリガリと掻いた。
「は?直さないのか?」
「もうこうなっちまったら1回溶かして新しい剣にしちまった方がいいんだよ」
「いや、錬金術で直した方が早いし、そっちの方が効率が良いだろ」
「は?お前さん。今錬金術って言ったか?」
「ん?あぁ」
「錬金術が使えるのか!?」
ローダスが俺の肩をがっちり掴んで前後に振る。
「あぁ。本当だから離せ」
俺はローダスの手を払い除けた。そして剣のひび割れた部分に手を添えた。
添えた部分に電流のような光が走る。
「よし。これで大丈夫だ」
剣を見るとひびが綺麗に消えていた。
今は部分的にしか錬金術を使わなかったが、今回などは全体的に使った方が魔力消費が少ない場合がある。
「すげぇ…これが錬金術…」
「……もう何が起こっているのか分からない……」
ローダスは感動したように見ていたがミユたちは何が起こっているのか全くわかっていない様子だ。
――それにしても本当に衰退してるな……。前世では当たり前だったんだがな……。
「それでローダス。魔法もお前が教えるのか?」
「いや。俺は魔法が苦手でな。そろそろ来る筈なんだがな……」
ローダスは肩を竦めて言った。どうやら見た目道理の男らしい。
――……今あいつの魔力を感じたんだがまさかな……。
「――今度こそ本物でしょうね!」
「はい!間違いないと思われます!」
その声と同時に入ってきた女性ふたりがいた。ひとりはメイドである。そしてもうひとりが――
「フリズ……」
現れたのは俺の知り合いだった。見た目は長い金髪と透き通るような緑色の目が特徴だった。そして、フリズは耳が長く先が尖っている。そう、彼女はエルフなのだ。
「――リーヴァ!!」
フリズは走ってきて思いっきり俺に抱き着いた。
「ごふっ!」
あまりの衝撃に俺は音を立てて後ろに倒れてしまった。
「……生きてたんだな…フリズ…」
フリズは前世での数少ない信頼できる人…もといエルフである。一緒に戦ってきた戦友でもある。
「当たり前よ!もう1回リーヴァとミユに会えるまで死ねないんだから!」
「わーったからそこからどけろ」
「えぇ?久しぶりに会ったんだからもうちょっとこのまま…」
フリズがさらに強く抱きついてきて挙句の果てに俺の首筋を舐めたりしてきた。
「ええい!!いいからそこをどけろ!」
俺はフリズの顔を押して強制的にどけさせた。
「いやん!もう!照れちゃって!」
「照れてねぇよ!」
「…ん?ミユ!久しぶり!」
「えぇ!?」
フリズはミユの顔を見ると一目散にミユの目の前まで近づき、ミユに抱きつく。だが、とうのミユは困惑した様だった。
「あれ?なんだか背が縮んだ?」
「おい!アンタ誰なんだよ!」
「そうですよ!一体ミユの何なんですか!」
大介と優里がミユとフリズの間に入って近づかせないようにする。
「……?」
「あ〜。実はな、ミユは転生したから記憶を失ってるんだ」
「転生で記憶を失う……死後転生…?」
「あぁ……俺が不甲斐ないばかりに……」
「ううん…。リーヴァのせいじゃあないわ。きっとミユだってリーヴァが悪いなんて思っていないわ」
「…そうだといいな」
俺はそうであって欲しいと願いながら微笑んだ。
「さっきから聞いていれば何なんだよ!」
大介が腕を振りかぶって怒鳴った。みんなの視線が大介に集中する。その視線のせいで少したじろいだが何とか持ち直した。
「し、死後転生とか、記憶を失ってるだとか美結に迷惑をかけるな!だいたい本当にお前達が知っている美結かどうかも分からないだろ!」
大介が怒って言っている時もミユはずっと俯いていた。そんなミユにフリズが近づいた。
「ミユ。早く思い出した方がいいわよ。遅くなれば遅くなるほど辛くなるのはあなたなのよ」
フリズは俯いているミユを安心させるように頭を撫でた。
「勝手な事を言ってミユを惑わさないでください!!」
今度は優里が叫んだ。
――……コイツらは自分の事しか考えないのか?…いい加減に腹が立ってきた。
俺は右足に覇気を纏い、地面にクレーターを作る。その時に出たドゴォン、という音に反応して皆が俺の方を見る。
「いい加減に誰が一番苦しんでいるのか理解しろ」