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二話 『大英雄』

 全員が自己紹介を終えると、ゴルドン王が手を軽く挙げた。すると大臣が1人出てきた。さっきのは合図だったのだ。



「それではまず最初に召喚する経緯をお教えいたします。この世界には魔王、と呼ばれる存在がいます。」



「それを倒せばいいんですか!?」



 大介が聞く。しかし



「いいえ。確かに魔王は極悪非道な存在ではあるのですが、魔王を滅ぼしてしまえば今人類と魔族で保っている均衡が崩壊してしまいます。もし、そんな事が起これば人類の中でも戦いが起きてしまいます。そうならないように人類共通の敵、魔族が必要なのです」



「じゃあなんで俺達を召喚したんですか?」



「魔族の中には魔王と言うトップがいるのに人類の中には何もいない。そうなってしまえば人類の中で誰が勇者になるか、と言うのが問題になるわけです。その問題を避けるため、異世界から勇者を召喚することにいたしました」



「って事は俺達は勇者ってことにはなっているけれども実質はただの異世界人。って事ですか?」



「いえ。いくら魔王が直接人類を滅ぼしに来ないとはいえ魔族の脅威は大きいです。そこで勇者の方達が人類を守るのです」



「あと。一つ言っておきたいのですが、勇者は危険なこともあります。ですから辞めるのであれば今だけです。これからは絶対に勇者を辞めることはできません。そこはご了承下さい」



「今、辞める。という方はいますか?」



 誰も名乗り出なかった。全員、魔族と戦う覚悟が有るという意思表示。



 ――まぁ。アイツらはまだヒヨッコだからな。戦場に行って大変な思いをするだろうがな。



「よろしいですね?それでは、魔法や剣術など魔族に対抗する術は後ほど……」



 大臣は戻っていった。



「これから、城の中を案内する事になるんだが一つ聞きたいことがある。リーヴァと言ったな?」



「はっ」



 俺はその言葉と共に再度跪いた。



 ――もしかしたらバレたかもしれな。



 俺は内心焦っていた。



「違ったらすまぬ。お主は三千年前のかの大英雄、最強にして最凶の英雄。『リーヴァ・フィルフォード』であるか?」



 ――はぁ、 やはりバレてしまったか。……ここは他人のフリをするか?いや、ミユの記憶を取り戻させるのには正体は必ずバレるな。……それにしても英雄なんて久々に呼ばれた気がする。前世も殆ど言われなかったからな。



 俺は3歩くらい前に出た。そして、電撃のような白い光を出して俺は前世の相棒の剣『神剣 天滅白剣(てんめつはくけん)』である。この剣は長剣であり、剣自体は殆どが白い剣である。ちなみにこの剣を俺以外の人が使えば切れ味の悪い剣より切れ味が悪くなる。つまり、俺専用の剣である。



 そして。更にもっと強い白い電撃の光を出した。光が収まった時には俺は全身を覆う白銀の鎧を着ていた。



 ――この鎧は俺が本気で戦う時だけのものだったな。



「いかにも!我が名はリーヴァ・フィルフォード!最強と称される英雄である!!」



 俺が頭を覆っている鎧の部分に手を添えると霧となって消えていった。



 その瞬間。王も大臣も全員が俺に対して跪いた。



「その剣と鎧は……!知らなかったとはいえ、ご無礼を働いた事をお許しを」



「気にしなくてもいい」



「はっ!ありがとうございます」



 俺は、鎧と剣を収納させ、チラッとミユの方を見た。



 ――俺のこの姿を見て何かを思い出すといいんだが……。



「あの…姿は…」



 ミユは泣いていた。



「ちょっと!?ミユどうしたの!?」



 優里が心配したような表情でミユに聞く。



「え?あ、ううん。大丈夫、ただちょっと懐かしい感じがしてそしたら急に涙が……」



「おい!お前また何かミユにしたんじゃないだろうな!」



 大介が俺に掴みかかってきた。その瞬間、大臣や騎士達だけでなくゴルドン王も真っ青になった。恐らく俺の怒りを買うと思ったのだろう。しかし、俺も何百年も生きてきた身である。たかが十数年しか生きていない餓鬼に腹を立てるなどよっぽどのことがない限りは無いだろう。



 ――そろそろ、騎士たちが大介を止めに来るだろうから手を出させないようにするか。



「よい。俺は気にしていない」



「はっ」



 俺はミユの言葉に更に口角をあげ、笑みを浮かべた。そして、またミユに逢えたことに実感して思わず涙が出そうになった。



 ――もうミユが転生したってことが確信したな……。しかし、これだけでもおもいだしそうなのだがな……。まだ全てを思い出すには足りないって事か……。



「別にミユには何もしていない」



「ふざけるな!だったら何でミユが泣いているんだ!」



「大介君違うの!」



「美結?」



「その人は悪くない。きっと、全てを忘れている私が悪いの」



「ミユ」



 俺がミユの名前を呼ぶ。



「お前は悪くない。絶対に記憶は取り戻させる」



 俺はミユに優しく微笑みかける。



「うん…!」



「……ちっ」



 ミユは安心したように返事をした。その事に気に食わないのか大介は聴こえないように舌打ちをした。他のみんなは気が付いていなかったが俺にはきちんと聴こえていた。



 そして俺はゴルドン王の方に振り返り



「これからの事を頼む」



「かしこまりました」



 ゴルドン王は一礼して、召し使いを呼んだ。



今日の15時に三話投稿しますのでぜひご覧ください!

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