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嫌いな主  作者: 小田桐
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妹思い


 深刻そうな表情で京司さんが言った。

「おまえしかいないんだ」

 ドキドキする、今までノーマルだと思っていたが自分の中の隠された一面が徐々に顔を出してきている、だけど俺は悪い気はしてなかった。

「でも、、、どうして俺なんか・・・・」

「理由が必要か?」

 ダメだよ。それ以上進むと引き返せなくなってしまう。でも・・・・

「理央、よろしく頼む。見捨てないで・・・・・・」

 引き返す必要なんてない。このまま流れるままに進もう、きっと俺はそれを望んでいるのだから・・・・・


「あの〜、なんか違うと思うんですけど・・・・」

 仕方がない、現実を話そう。えーと、夕月を嫌いになって何日目の話だったかな?それほど時間がたってなかったときの物語を。



「今日は休みだろ。どっか行かない?」

「いいですよ、どこに連れて行ってくれるんです?」

 休みの日に京司さんが遊びに誘ってくれた。この屋敷で働いていると外部との接点があまりなく出会いがなかった。友達を作るのは難しい環境。

「服でも買いに行きたいんだ。つきあってもらってもいいか?」

「どうせ、予定が入ってないからいいですよ」

 京司さんは気さくな人だった。お金持ちのボンボンっぽいところもあるが人間的には嫌いではなく一緒に遊んでいても楽しいと思える人、妹の夕月と違って。

「車出してくるから」


「これ、おまえに似合うじゃない?」

「少し派手すぎません?京司さんの方が似合ってますって」

 自分の服を買いに行くときは格安の量販店に行くのだが京司さんが行くところは滅多に行かないようなブランド物を置いてある店だった。

「どっちかというとシックな物の方が好きなんですよ」

「もったいないな。せっかく良い面してるんだから」

「顔は関係ないですよ。自分に似合ってる服を選ぶのがオレ流のおしゃれなんです」

 とまぁ、言ってみるが実際は自分に似合うってよりも収入に見合う服を選ぶのがオレ流って感じなんだな、これが。

 京司さんは俺と違って派手な感じの服を好むし、アクセサリーや香水をつけるのが好きなようだった。男のくせにチャラチャラしてるとは別に思わない、人それぞれだから。

「このネックレス、ユヅに似合いそうだな」

 シルバーのアクセサリーを京司さんは手に取っていた。小さな葉のデザインがとても可愛らしかった。

「そうですね」

 同意する。でも、夕月にそういったアクセサリーが似合うとは正直思えなかった。だけど、夕月に似合うアクセサリーなんて想像もできない。

「これってペアになってるのか」

 女性用が葉が2枚、それよりも大きめのチェーンについている男性用が葉が3枚あった。見ようによっては葉がハート型を作ってるようにも見えるデザインだった。

「買っていくかな」

 そう言って京司さんがそのネックレスを買った。女性用だけをラッピングして、きっと夕月にプレゼントするつもりだろう。



「とっつきにくい娘だとは思うけど仲良くしてもらえないか?」

 ちょっと洒落た焼き肉屋でご飯を食べながら京司さんが言った。

「でも、俺は嫌われるみたいですよ」

「別に嫌っては居ないと思うぞ。好かれているとも思わないけど」

 そうなんだよね、俺だって夕月と出来たら仲良くしたいさ。

「正直、どんな風に接したら良いかわからないんですよ」

「別に普通で良いと思うぞ」

 それなら今だってやってる、普通に接していてお互いにぎくしゃくしてるんだから。

「ユヅは母親にべったりだったんだ。だけど、病気で死んでいらいふさぎ込むようになってな」

 うん、それは篠塚さんに話を聞いている。

「もともと、人見知りするところがあってさ。でも、母親が死んでからというもの人見知りどころか他人と口すらきかなくなってきてる」

「お母さんってどんな人だったんですか?」

「優しい人だったよ。そしていつもユヅをかわいがっていた。まぁ、その分俺がほっとかれたけどね」

 母親の愛情が大きかったからこそそれを失ったときのショックが激しいってことか。

「ユヅのことどう思う?」

 答えに詰まった。陰気、無口、協調性がない。って言葉が思いつくがそれを口にするのは躊躇ってしまう。

「あいつってあんな性格だから学校でも友達がいないらしい。いつも孤立してるって学校の先生が言ってた。だから、今のあいつにはおまえしかいないんだ。」

「でも、どうして俺が?」

「人の縁に理由が必要か?でも、強いて言えばおまえらが似てることかな。別に顔や性格が似てるってわけじゃないがなんとなく通じるモノがおまえらにはあるんだよ」

「そうですか?」

「ああ、間違いない。理央、ユヅをよろしく頼む。見捨てないでやって欲しい」

「わかりました、友達になってみせます」



 翌日、俺と夕月が仲良くなった訳じゃない。でも、お互いに努力をしていたと今振り返ればそう思える。夕月は夕月なりに俺に近づいて来ていたんだ。だけど、そのときの俺はそれが鬱陶しかった、夕月も夕月で俺のことを鬱陶しく思っていたに違いない。

 でも、俺たちは仲良くなったのは間違いはない。夕月、ごめんね。時間がかかりすぎて。

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