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最終話 大陸統一

ご愛読いただきました皆様へ


皆様のご声援のおかげで、この作品を完結まで導くことができました。


日々、ご愛読してくださった方


ブックマーク登録をしてくださった方


評価をつけてくださった方


感想を送っていただいた方


一行でも読んでくださった方


全ての方に感謝しております。

コンコード王国の王城、謁見の間。


トゥエル国王在席のもと、厳かに叙勲式が行われていた。


この式典の中でも最も重要な意義を持つのは、風の国の女王だったアウローラの叙勲であろう。



「新たに我が臣となりし、エルフの精霊使いアウローラよ。


そなたに公爵の爵位を与える。


これまで通り、その領地をしかと治めてくれ」


「母なる世界樹に誓って、謹んでお受け致しますわ」



長きに渡り、4つの国によって分断されてきた大陸が、1つに統一された瞬間であった。


参列者からも大きな歓声と拍手で迎え入れられる。



「騎士団長サブノック。


長きに渡る魔物の監視と討伐、大義であった。


その功績により、そなたに侯爵の爵位を授ける」


「ありがたきお言葉。謹んでお受け致します」



「宮廷魔術団長ハルファス。


魔物を生み出す魔石を封じ、さらには大陸統一の礎を築いたそなたの功績は大きい。


それに報いるため、そなたにも侯爵の爵位を授ける。


真に大義であった」


「ありがたきお言葉。謹んでお受け致します」



「我が王国は、かつての古代魔法王国に比肩するほど大きくなった。


それに伴い、治世にも困難が多々生じるであろう。


2人とも今後の王国の繁栄を支える大きな柱となってくれ」



そう伝えるトゥエル国王の目は、嬉しそうに細められていた。



「それからハルファス。


そなたも侯爵という大貴族になっているのだ。


そろそろ家柄を示す姓が必要であろう。


これからは、ハルファス・ソーサリスと名乗るがよい」


「謹んで拝受致します」


「サブノック。


そなたは、ステファニーとの婚姻により、コンコード姓を名乗ることになろう。


王族が持つもう1つの名は、そのときに贈らせてもらうぞ」


「かしこまりました」





+++





厳かな叙勲式が行われた翌日。


迷宮を建造している間に、ステファニーは王立学院を卒業していた。


婚約時の誓い通り、サブノックとステファニーの婚姻の儀がこの日、執り行われていた。



王族と一部の大貴族だけが出席を許された婚姻の儀である。


侯爵となり、宮廷魔術団の団長でもあるハルファスも出席を許されていた。


シャックスは、男爵という爵位と諜報部の副部長という爵位も肩書きである。


通常であれば、参列を許される立場ではない。


しかし、サブノックたっての希望とあり、特別に参列することを許されていた。



婚姻の儀は、王城内にある神殿にて、厳粛な空気の中、執り行われた。


いつもとは違う儀礼用の鎧に身を包んだサブノック。


そのたたずまいに、既に王としての器の片鱗を見せていた。


そして、白いウエディングドレスに身を包んだステファニー。


その美しさに、参列者一同が見惚れていた。


サブノックとステファニーの誓いのキスでは、シャックスが号泣するという一場面もあった。


厳粛でありつつも和やかに、婚姻の儀は滞りなく執り行われた。



婚姻の儀が終わると、サブノックとステファニーは、王城のテラスに向かう。


王族の婚姻を祝うため、多くの国民が城下に集っていた。


初々しく喜びに満ちた2人の姿を見ようと、城下は喧騒に包まれる。


そんな中、遠くまでよく通る声で、国王トゥエルが言葉を発する。



「我が愛すべき民よ。


此度は新たなる王族の門出を祝ってくれ、大変喜ばしく思う。


先ほど、婚姻の儀が滞りなく執り行われた。


これより騎士団長サブノックは、王族の一員となった。


これからは、王族として我が国のために尽くしてもらうことになる。


そこで、サブノックに新たな名をここで授ける。


サブノック・スサノ・コンコード。


これからは、この者をそう呼んで欲しい」



国王トゥエルから王国の民に向けて婚姻の報告がされると、大歓声が沸き起こる。


サブノックとステファニーは、城下に集まった大観衆に向けて、笑顔で手を振り続ける。



大陸が統一され、戦がなくなった嬉しさと新たな慶事に、国民は沸きに沸いた。


この日から数日、大陸中でお祭り騒ぎとなり、将来の希望に満ちた喜びの声が木霊すのであった。



神殿から自らの執務室へと移動していたハルファス。


サブノックとステファニーの幸せそうな姿と王都のお祭り騒ぎを嬉しそうに眺めていた。



「素晴らしい光景である。サブノックのあの幸せそうな顔を見てみたまえ。


あんな顔をした彼をこれまで見たことなどないのである」



傍にいたシャックスが、笑顔で頷く。


しかし、そう言った側から、嬉しそうな表情を消し、真面目な顔になるハルファス。



「しかし、これからが本番であるな。


このように、民衆が生き生きとした顔をする治世を末永く続けていける国にしていかねば。


その礎を築くまでは、まだ暫く忙しくなるであろうな。


本来であれば、私も古文書の解読に打ち込んでいたいが、立場上そうはいくまい。


…致し方ないことではあるが」



「ハルファス!


あんまり仕事に没頭しすぎて、体を壊さないでよね。


ハルファスは、私にとって…


いえ、この大陸にとって、かけがえのない人なんだから!


私は、いつでも、いつまででも、あなたの傍にいる。


だから、あまり無理をせずに私を頼ってよね」



シャックスが、そう言って微笑む。


ハルファスは、シャックスに微笑み返しながら、その手を取る。



「シャックス…


いつも傍で支えてくれて、ありがとう。


本当に感謝しているのだ。


これからも、私を支えてくれると嬉しい。


よろしく頼むのだ」



ハルファスは真剣な顔で、シャックスを見つめる。


シャックスも、ハルファスの瞳を見つめ返す。


しかし、ふと眉をしかめて、ハルファスが言葉を続ける。



「だが、大陸にとってかけがえのない人物とは…


随分と大袈裟なことを言ってくれるのだな。


私は一仕官にしか過ぎん。


これから大変なのは、いずれ王となるであろう、あそこにいる我らが親友なのだよ。


彼の身こそ、心配なのである」



ハルファスが大真面目にそう言っているのを聞いて、シャックスは呆れていた。


ハルファスが大陸中から、どのように呼ばれているか…


本人が全く知らないことに気づいたからだ。


だが、それがハルファスらしいと笑い出すシャックス。


そんなシャックスを不思議そうな顔で見つめるハルファスであった。







大陸中の吟遊詩人が謳う…



---この大陸には『三賢者』と呼ばれる偉大なる魔道師がいる…


---民を暖かく見守る優しき者


---『白髭の賢者』 ベルル


---民の生活のために研究を続ける者


---『流浪の賢者』 アルケニー


---そして…


---この大陸に平和をもたらした智謀の者


---『大陸の賢者』 ハルファス








-----就職したら自分だけ職種が違ってた《完》-----

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