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第7話 越境盗賊団

「サイレンス《静寂》」


洞窟内が有効範囲に入らない距離を保ちながら、見張りの男に対してハルファスが静寂の魔法をかける。


見張りの男は、周りの音が聞こえなくなったことを不審に思った様子をみせる。


「スリープ・クラウド《眠りの雲》」


すかさず、見張りの男に眠りの魔法をかける。


魔法の力に抵抗できず、見張りの男が崩れ落ちる。


それを確認すると、シャックスとハルファスは洞窟の入り口に近づいた。


入り口に辿り着くと、シャックスがすばやく男を縛り上げる。


静寂の魔法の効果は覿面てきめんであった。


男が倒れる音、2人の移動する音、男を縛り上げる音も全て消し去られている。


シャックスが縛り上げると、2人は入り口付近にあった草むらへ見張りの男をひきずっていく。


そしてそのままシャックスとハルファスもそこに隠れる。



その様子を確認したサブノックは、予定通り洞窟の正面で狼煙をあげる。


しばらくすると、外の異変に気づいた盗賊たちが洞窟から飛び出てきた。



「スリープ・クラウド《眠りの雲》」


無防備の真後ろから、眠りの魔法をかけられた盗賊たちが次々と倒れていく。


倒れた盗賊のうち、3人はそのまま昏睡したものの、1人はしぶとく魔法へ抵抗していた。


しかし、その隙を逃さずサブノックが魔法に抵抗していた盗賊を制圧する。



『火につけこんでおしこみはたらくく』


ハルファスの放った言葉の意味は良く分からなかったものの、


『盗賊たちが飛び出してきたら洞窟内を制圧せよ』


というハルファスの指示をシャックスは忠実に果たしていた。


飛び出していった盗賊たちと入れ替わるように、洞窟へ侵入したシャックス。


彼女は、冷静に周りを観察し、盗賊がいないことを確かめる。


安全を確認すると、洞窟内で縛り上げられていた人物のもとへ慎重に近づいていった。


縛り上げられ横たわっている人物を観察するシャックス。


その人物は、かがり火の光のもとであっても、明らかに上質なドレスを身に着けた女性だった。


恐怖のためか、問いかけにも答えず、ただ震えているだけであった。


しかし、シャックスは根気良く女性に話しかけていた。




倒した盗賊たちを縛り上げ終わったサブノックが、洞窟の中に入ってくる。


すると、いろいろな場所をウロウロしているハルファスを見つけた。



「何してるんだ?」


「いや。改めて洞窟の中を見てみるとだな…


古文書の記述とあまりにも一致していてな。


…記述どおりであれば、確かこの辺りだったな」


ハルファスは、洞窟の奥まった一角をしげしげと見つめていたかと思うと、おもむろに魔法を詠唱する。



「ディスペル《解呪》」


「なんだ、何もないじゃないか」


「いや、微かに魔法の抵抗を感じたのだよ。私の魔力を上回る魔法がかけられているようだ」




「なにしてんの、あんたたち。この方が酷く怯えてるのよ。早く王城に戻りましょう」


「盗賊たちは、どうする?」


「後で、王都守備隊の者たちに回収してもらえば良いと思われる」



こうして、当初の目的とは全く異なる冒険をすることになってしまった3人であった。


この夜は、それ以上の波乱はなく、攫われていた人物を連れて無事王城に帰還することができた。

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