第6話 選択肢
「さて、諸君。
これから取りうるべき選択肢は、いくつかあるかと思う。
1つ目、何も気づかなかったことにして、このまま引き返す。
2つ目、二手に別れ、監視を続けつつ応援を呼びに行く。
3つ目、応援を呼ばずに我々だけで解決する。
サブノック、君はどう考える?」
「王国に仕官した身として、1つ目はとれねえな」
「私は、2つ目が最善の選択肢だと思うわ」
「そうだね、シャックス。
一見すると、2つ目が最善の手であるようにも思える。
しかし、実際には一番の悪手であると私は考えている」
「どういうことだ?俺も2つ目の選択肢に賛成だが」
「2つ目の選択肢をとった場合、二手に別れる。
監視に必要な技術をもったシャックス。
その護衛としてサブノックが、ここに残る。
残った私が応援を呼びにいく。
これが、現有戦力の妥当な割り振りだと思う。
しかし、この場合、2人の生命の危険が高い。
にもかかわらず、盗賊団自体も逃してしまうことになりかねない」
「どうして、そう思う?」
「足跡だ。
街道から洞窟へ向かうのに、盗賊団もこの道を通っている。
ということは、街道に向かう時にも、この道を通ることになる。
自分たちの足跡を消す努力をするほど、周囲を警戒している相手だ。
その時、彼らはここまでの我々3人の足跡に気づくだろう。
さらに王城へ引き返す私の足跡にも当然気づく。
足跡の動きを見て、まず自分たちが発見されたことに気づくのは間違いなかろう。
そして、留まっている2人は監視役であり、1人は応援を呼びに戻っていると感づくに違いない。
その場合、彼らのとるべき道は1つしかない。
この場に留まっている監視役を速やかに殺し、逃走経路を変更することだ。
私は大切な友人2人を失うとともに、その仇を見失うという最悪な事態に陥るわけである。
もちろん、私が足跡を消しながら戻るという手もあるが、そんな猶予は当然残されていないだろう」
「じゃあ、どうすればいいの?
ハルだって、戦力的には私たちが不利って言ってたじゃない」
「もちろん。真正面から戦えば、万が一にも勝ち目はないだろう。
しかし、お互いの存在の認知においては、我々が絶対的なアドバンテージを持っている」
「つまり、奇襲をかけて討伐するってことか」
戦士の顔になったサブノックの目が爛々と輝きだす。
「ハル、その顔はすでに作戦は出来上がっているようね」
シャックスの目にも炎が宿る。
「うむ。もちろんだ。
それゆえ、3つ目の選択肢を我々はとるべきだと考える」
大きくうなづいた2人に対して、ハルファスは盗賊団討伐の作戦手順を伝えはじめる。
「まずは、逸を以て労を待つである」