とある場所で
暗い廊下を2体の奇妙な生物が歩いていた
この生物は妖魔、または妖怪と呼ばれている日本のほとんどを支配している生物だ
「ここに人間がいるってきいたんだけどなぁ」
鰐の様な頭をした妖魔が涎を垂らしながら呟く
「本当にいるのか?どこからの情報だよ?」
もう1体の鳥の様な頭をした妖魔が聞くが、返事は返ってこない
「おい、聞いているのか?」
後ろに振り向くと、そこにいるはずの鰐の様な頭をした妖魔の姿はなく、代わりにそこにあったのは、バラバラに散らばっている肉片だった
それがさっきまで一緒にいた妖魔だと気づくまでそう時間はいらなかった、そして、その犯人もすぐにわかった、何故なら肉片を挟んだ向かい側に血で濡れている刀を持った黒いコートを着た人間が立っていたからだ
「お、お前がやったのか!」
鳥の様な頭をした妖魔はその人間に叫ぶ様に聞くが返事はなかった
「お前がやったのかって聞いてるんだよ!」
妖魔は叫ぶと同時に鋭い爪で切り裂こうとするが
「後ろだ馬鹿」
慌てて後ろを振り向くと、人間はすでに刀を鞘に収めるところだった
「舐めるな人間風情が!!」
再び切り裂こうとするが、妖魔は動かなかった、いや 動けなかったのである
その妖魔は感じた、辺りに漂う心地よい風を
仲間を殺され怒りで満ちているはずなのに、どこか安らぎを感じる自分を
「貴方も感じたでしょう?不死鳥の息吹を」
人間はその言葉を最後に姿を消した、そしてその場に残ったのは二体分のバラバラになった肉片だった
とある部屋で
「蓮子ダメよ、部屋の外に出たらダメって言われてるでしょ?」
「だってメリー、私も妖怪を見てみたいんだもん」
蓮子と呼ばれた少女は駄々っ子の様な口調で言うが、メリーと呼ばれた少女はダメだと服の襟元を掴んで扉から離す
つまんないと連呼している蓮子を尻目に棚から本を取り出し、もう少し静かにしてくれないかなと思いつつ本を読み始めたメリーであった