9,学校―絡まれる
僕とシグは無事に学校に着いた。チラチラ見られたりガン見されたり「えっ!?」とか言われたりしたけど、まあいいや。どうでも。
「ここが学校だよ。新しいクラスはそこの紙に書いてあるはず。えっと……あった、二年五組か。じゃあ教室は三階だね」
「あばば」
「こっちだよ、着いてきて」
「あば!」
「始業式があるけど、その間は静かにしててね。追い出されるかも知れないから」
「あ、あば!」
「ん、良い子。ここが教室。名簿順だから……窓際のこの席だよ。シグは、そうだな。とりあえず机の上にでも乗せておくか。この上に乗れる?」
「あーばっ!」
「お、凄い跳んだ。はは、すっごいぷるんってなってた。面白いな」
「あばば? あばばー、あばーばー!」
「うおお、体をめっちゃぷるぷるさせ始めた。ゼリーみたい。美味しそう」
「あば……あばば!? あばばば、あばー!」
「あ、でも銀色だからやっぱり美味しくなさそう。食べるのはやめよう」
「あばば……」
「…………あの、ちょっといいですか?」
「あ、シグが机の上にいると勉強できないな。大半を占められてる。授業中は鞄の中にいてもらっていい?」
「あば!」
「…………あの! ちょっといいですか!」
「うわ、なに? びっくりした。えっと、誰ですか?」
「……このクラスの担任の、瀬川です。今年からこの学校に赴任してきました」
「へえ、新しい先生が担任なんだ。僕は渡邊です。一年間よろしくお願いします」
「あ、はい。こちらこそ……ってそうじゃなく。……それ、なんですか?」
「それって?」
「あば?」
「それですよ! その、あばばとか言ってる銀色のボールみたいなやつ!」
「シグです。ほらシグ、先生に挨拶して」
「あばー! あばばば!」
「よくできました。ご褒美に家に帰ったらバナナあげるね。二週間そのままの真っ黒になった美味しいやつ」
「あば!」
「そのバナナ腐ってませんか? ……いや、そうでもなく! なんなんですか、それ!」
「え? だから」
「シグって言うつもりですね!? そういうことじゃなくて、なんですかその生き物!」
「宇宙人」
「あばば」
「……宇宙人? は? ふざけないでください」
「ふざけてなんかいませんけど。ね、シグ」
「あばばー!」
「……え? なにこの子、わけわかんない……。張りきって仕事しようと思ったら変な生き物連れてきてる変な生徒いるんだけど、なにこれ。生き物……生き物? え、あれ生き物なの? 目がついてる銀色のボールじゃない。……あ、分かった、おもちゃね! そうよ、宇宙人っていうコンセプトのおもちゃよ!」
「おもちゃだなんて、先生なに言ってるんですか? 頭大丈夫ですか?」
「それはこっちの台詞ですよ! 今この場にいる他の人達もそう思ってますからね!?」
「……あばー」
シグと外に出ると、たまに変な人に絡まれる。