72,本屋にて
放課後、本屋に行った。シグも一緒だ。
「来年は僕も高三か……まあ大学に行くつもりはないから、勉強とかでは周りより気が楽かな。留年しないようにきちんと勉強しなきゃなのは変わりないけどさ」
「あばー?」
「高校には留年という制度があってね、成績がある基準よりも下だともう一年勉強しなきゃならないんだ。そうならないように、今日は参考書を買いに来たんだ」
「あばばー」
「ついでにシグにも絵本とかを買ってあげようかなー、と。バイト代が入ったからね」
「あばば! あばーば?」
「何でもいいよ。あ、でもあんまり高いのは遠慮してほしいかな」
「あばー!」
「こら、静かに。他のお客さんの迷惑になるからね」
「あ、あばばー……」
「よし、良い子。えっと……ああ、あった。これを買いに来たんだよ。シグは欲しいのある?」
「あば、ば……あばば!」
「これ? いいよ、買おうか。……シグって文字読めるっけ? ねえシグ、これ何て書いてあるか分かる?」
「あばー?」
「分からない、か。じゃあ僕が読み聞かせてあげないといけないのか。ま、いいけどさ」
「ばあばばー」
「さて、帰ろうか。ああ、その前に今日の夕飯の材料を買わないと。何にしようかな……って、あれ? 奏太くん?」
「あ? ……げっ、お前かよ」
「あばばー?」
「僕の従兄弟で、高畑奏太くん。中学二年生、バレー部……だよね? あれ、違ったっけ」
「……そうだよ。ちっ、お前に会うなんてツいてねえ」
「こら、舌打ちしない」
「うっせえよ」
「あ、あーば、あばば……?」
「いつもこんな感じだから気にしないでいいよ」
「……何だそいつ」
「シグ。宇宙人だよ」
「はあ? とうとう頭がイカれたのかよ」
「失礼だなあ。まさか、絆にもそんな言葉遣いだったりしないよね?」
「絆姉ちゃんにこんなこと言うわけねえだろ。お前だけに決まってんだろ、馬鹿か」
「嬉しくない特別だね、まあいいけど。じゃあ僕らはもう行くから、絆によろしく。ばいばい」
「……」
「あばー……」
「うーん……そうだ。今日は湯豆腐にしよう」
「……あーば」
何故かシグに呆れられてしまった。




