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7,学校―前日
シグがやって来て三週間。今日の日付は長期休暇の最終日を示している。明日からは学校なので、そのことをシグに話す。
「シグ。明日から昼間はいなくなるけど、良い子にしててね」
「ば!?」
「学校があるんだ。学校って分かる? 勉強するところだよ」
「あ、ばば? あーあー、ばー」
「家の中はいつも通りの状態に保つこと、知らない人が来ても絶対に出ないこと。最低限この二つは守ってね」
「あば! あば、ば、ばー……」
「心配しなくてもいいよ。どうせ誰も来ないから。寝てればいいと思うよ」
「あばばー……」
「なんで僕の足にすり寄ってきてるの? もしかして寂しい?」
「あば……」
「うーん、そう言われてもな」
「……あば、あばば」
「……はあ、分かった。一緒に学校に行こうか。その方が僕も安心だし」
「あば!? あばば、ばー!」
「うおっ、急に飛び付いてこないでよ。君、意外と重いんだから」
「あーば!」
シグを学校に連れていくことにした。