69,先生の変化
始業式のあと、瀬川先生と会話をした。
「……あの、あの時のあれは一体何だったんですか?」
「召喚ですけど」
「……しょうかん?」
「ま、僕らは巻き込まれただけみたいですけどね。あっちは勇者の相澤くんを喚ぼうとしてたみたいですから」
「……あれから大晦日まで、相澤君が行方不明になってたのって」
「あ、それなら相澤くんに直接聞いたらどうですか? きっと異世界の面白い話とかしてくれると思いますよ。勇者してたみたいですから」
「……そう、ですか」
「……先生、なんか変わりました? 今までなら『そんなことありえない』とか何とか言いそうなのに」
「あれから、自分なりに考えてみたんです。ただの夢、妄想というのが現実的だとは思うんですが、貴方や相澤くんまで同じ夢を見るかと言われたら、それは疑問です。まあ、まだありえないとは思っていますが……頭ごなしに否定するのは止めようかと」
「へえ、そうなんですか。きっとシグが喜びますよ。あの子、瀬川先生に『宇宙人なんてありえない』って言われる度に怒ってましたから」
「うっ……! そ、うですか。なら、その、……私の代わりに謝ってもらえませんか? その、えーと、シグ? に」
「あ、いいですよー」
「……軽っ」
「え? 何か言いました?」
「いえ、何も」
「そうですか。じゃあ僕は帰ります。シグのご飯を用意しなくちゃならないので」
「……腐っているものとかは駄目ですよ」
「……はーい」
瀬川先生が少し柔軟になった。




