61,叔母と叔父と従兄弟と妹
翌日。僕は叔母さんの家の前に立った。
「久しぶりだな……去年は行かなかったから、約二年ぶりか」
「……お兄ちゃん」
「あ、絆」
「家の中、入って。叔母さん達も待ってる」
「うん。奏太くんもいるの?」
「いるわ」
「久しぶりだなぁ」
奏太くんは僕の従兄弟だ。僕の三つ下で、絆の一つ下。今は中学二年生のはず。
「……来たのね」
「はい。お久しぶりです、叔母さん」
「去年はインフルエンザになって来れなかったから、二年ぶりね。……高校はどう?」
「毎日楽しいですよ。友人もいますし、先生も良い人達ばかりで」
「そう」
「叔父さんは? 挨拶をしようと思うのですが」
「向こうにいるわ」
「そうですか、ありがとうございます」
叔母さんが指差した方向に行く。その時、叔母さんが「相変わらず無表情で気味の悪い子」と呟くのが聞こえた。もうちょっと音量下げた方がいいですよー。
「叔父さん」
「……ああ、君か。久しぶりだね」
「はい、お久しぶりです」
「元気にしていたかい」
「ええ、まあ。それなりに」
「そうか。ならいい」
「叔父さんも、相変わらずお元気そうで何よりです」
「ああ」
「……」
「父さん、俺の靴下しらな……うげっ」
「あ、奏太くん。久しぶりだね。元気にしてた?」
「……お前には関係ないだろ」
「でも、一応従兄弟だし」
「従兄弟ぉ? 冗談じゃねえよ、そんなの。それに、従兄弟って言ったってお前は」
「奏太! ……止めなさい」
「……分かったよ、父さん」
「奏太、あまり変なことを言うんじゃない。……それじゃあ、向こうに行っているから。君、悪いね」
ああ、肩身が狭い。息苦しい。この気を使われている感がもどかしいというか、背筋がぞっとするというか。
奏太くんは相変わらず僕のことが嫌いらしい。絆のことは姉と呼び慕っているのに、僕を兄と呼んだことは一度もない。お前、こいつ、あいつ、としか呼ばれた記憶がない。けど、そうして嫌われていた方がなんとなくやりやすい。
「……お前、何しに来たんだよ」
「年末年始の挨拶と、僕の親についてちょっとした話し合い」
「絆姉ちゃんの親、だろ」
「戸籍上、僕の親でもあるよ」
「血の繋がりはないだろ」
「半分はあるよ。親権だってちゃんとあの人たちが持っていたらしいし」
「……ちっ」
「舌打ちしない」
「うっせえよ。大体お前は……」
「奏太。何してるの」
「絆姉ちゃん!」
「……あんまり、お兄ちゃんに絡まないで。挑発もしない」
「……姉ちゃんがそう言うなら」
「奏太くん、シスコンなの?」
「お兄ちゃんも煽らないで」
「はいはい」
「お前だってシスコンだろ」
「あ、否定はしないんだ」
「二人とも!」
「ご、ごめんなさい、姉ちゃん」
「ごめんね絆。反応が面白くて、つい」
「ついじゃないわよ、まったく……。お父さん達の話するんでしょ。叔母さん達、向こうにいるから」
「うん」
お話、開始。




