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56,魔王の正体

 宇宙人二人目登場。


「ちゃんと言葉は通じているかな?」

「うん、伝わってるよ」

「そうか、ならよかった。私はその子――シグと言ったかな? その子の同族で、ドランという」

「へえ、そっくりだね。えーと、はじめまして。渡邊です」

「こちらこそはじめまして。ワタナベはその子とはどんな関係だ? 保護してくれていたのか?」

「保護? いや、そんなつもりは全くなかったけど……同居人、かな? うん、同居人だよ」

「同居人? 随分と面白いことを言うのだな、君は」

「え、そうかな。でも同居人が一番適切かなと思ったんだけど」

「そういうことではない。同居人、とまるで対等な関係のように言うからな。種族が違えば言葉も違う。意思を交わすことができなければ対等な関係などそうそう築けないからな、君のような者は珍しいのだよ」

「ふうん……。で、シグ? さっきから僕の後ろに隠れてるけど、どうしたの? 君の仲間だよ。恥ずかしがってるのかな?」

「……あばばば」

「……んー、と? まあいいや。ドランくん、とりあえず家の中に入っておいで。窓を開けたままだと僕は寒いんだ」

「ああ、ここの生物はそういうのを感じるのだったな。それは気付かなくて悪かった」

「いいよ、別に。……ふう。さて、君はいったい何の用で来たのかな?」

「なに、簡単なことだ。今日はその子を引き取りに来たのだ」

「あばっ? あばば!?」

「へえ。シグ、よかったね。帰れるよ」

「あばばば! あばばば、あば!」

「……ほう。その子は随分と君になついているのだな、ワタナベ。見たところ意思の疎通は十分ではないようだが、どうやってそこまでなつかせたのか興味深い」

「そう? そんな特別なことは何もしていないけど」

「ふむ。この星、この国のニンゲンは謙虚という話を聞いたが、本当のようだな」

「謙虚、ねえ……。全くそんなことはないんだけど、まあいいか。で、ドランくんはシグを迎えに来たと」

「ああ。今日、偶然その子を見つけてね。ずっと探していたのだ」

「探していた? 見つけたって、どこで?」

「……話すと長くなるのだが、今日、別の世界に行かなかったか?」

「うん。……まさかそこで? でもあそこで君や、君の仲間の姿は見てないけど……」

「この世界に帰るとき、その子の力を使っただろう。それを感知したのだ」

「あばば……」

「へえ。でも宇宙人パワーなんて今までも結構使ってたけど、それには気付かなかったんだ?」

「流石に世界が違えば感知できぬ。今回は偶々同じ世界にいたから出来たのだ」

「ということは、君たちはあそこの世界の生き物なのか。シグも?」

「いや、元々はそことも違う世界から来た。あそこにいたのは、植民地を増やすためだ」

「……植民地?」

「我々は数が増えすぎてしまってな。あそこの世界を植民地にしようとしている途中なのだ」

「え。……もしかして、魔王って君たちのことだったりする?」

「マオウ? ああ、そういえばそんな風に言われることもあるな」

「……うわ、まじか。下手したらシグも殺されるところだったのか」

「あ、あば!?」


 シグの仲間は魔王。


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