46,家族
妹がやって来た。
「中、入ってく?」
「いい。今日はもう帰るわ。顔を見に来ただけだから」
「そう。じゃあね」
「……また来るわ」
「……あーば」
「シグ、待たせてごめんね。入ろうか」
「あ、あば……」
「今のは僕の妹で……寒いから家に入ってから話すよ」
「あばば」
「そろそろ暖房つけようかな。十一月だもんね」
「あーば」
「で、ええと、妹のことだっけ? さっき来たのは僕の妹。渡邊絆。中学三年生。父さんの妹……叔母さん達の家に住んでる。それから……何かあったっけ? これくらいかな」
「……あばあばばー」
「あ、それと、僕のことが嫌い。反抗期なのかな」
「……」
「今日来たのは叔母さん達に頼まれて仕方なくってところかな。その叔母さん達も僕のことが嫌いだから、押し付けられたのかな。可哀想に」
「……」
「以前は絆と一緒にあっちに住んでたんだけど、どうもぎくしゃくしてしまってね。高校入学と同時にこっちに移ったんだ」
「……」
「叔母さんの子供、つまり従兄弟がいるんだけど、その子にも嫌われているんだ。あの頃は毎日のように罵倒されていたよ。当時、まだ従兄弟は小学生だったんだけど、妹と同じで反抗期だったんだろうね」
「……」
「ちなみにこの家は両親が生きてた頃に住んでいた家で、今は僕のもの。昔のものが色々残ってるよ。シグが寝床に使ってるベビーベッドは絆が使っていたやつなんだ」
「……」
「シグ? 黙りこんでるけど、どうかした?」
「……」
「そういえば、シグに家族とかいるの?」
「…………あばばば、あば」
「分からないの?」
「あば」
「へえ、そうなんだ。いるとしたら、やっぱり銀色なボールみたいな姿なのかな? どうでもいいけど」
シグは家族がいるのか分からない。




