44,客
赤や黄色に色付いた紅葉の下ではしゃぐシグ。
「あばー! あばばばば!」
「シグは元気だなぁ。……あ、焼き芋売ってる。おじさん、一つください。シグ、一緒に食べようか」
「あば?」
「焼き芋だよ。食べたことなかったっけ。美味しいよ」
「あばばー……!」
「あつっ。……芋って口が渇くから、あんまり好きじゃないんだよね。はい、残りはあげるよ」
「あば! あば、あばば……っあばばー!」
「美味しい? 良かったね」
「あば! あーば、あばーば!」
「さて、そろそろ帰ろうか。日が落ちるのが早くなってきたね、もう薄暗い」
「あばば」
「帰ったら昼寝しようかな。外に出たから眠くなってきた。昼寝というより夕寝?」
「あば?」
「まあ、どうでもいいか」
「あーば……、あばば? あばばー?」
「ん? どうかした?」
「あーばばー」
「んー? 家がどうかし……あれ、誰かいるね。誰だろう?」
「あばー?」
「お客さんなんて来る予定はなかったはずだし、そもそもあの家に来る人なんて……ああ、もしかして」
「あば?」
「ちょっと心当たりがね。……あ、女の子だ。じゃあやっぱり……」
「――あら、出かけてたの。どうりで、いくらチャイムを鳴らしても出ないはずね。てっきり居留守かと思ったんだけど」
「居留守なんてセールスマンにしか使わないよ」
「そう。どうでもいいわ、そんなこと」
「……あばばー?」
お客さんがやって来た。




