43,紅葉
紅葉が色付く季節だ。
「紅葉を見に行こう」
「あば?」
「シグ、こういう季節のもの結構好きじゃないかと思って。桜とか花火とか月見とか」
「あば!」
「じゃあ、近所に紅葉園があるからそこに行こうか」
「あば! あばば!」
「外はもう長袖じゃないと出れないね。寒い」
「あばー……」
「シグは寒くないの? よく考えたら防寒具どころか服も着てないけど。寒暖とか感じるの?」
「あばば? あばばばー?」
「……もしかしたら感じないの?」
「あばー?」
「羨ましいな。僕は寒がりだから、冬は着こまないとやってられないんだ。マフラーと手袋とイヤーマフは必需品だよ」
「あばば……」
「さて、ここが紅葉園だよ。人に迷惑をかけない程度に好きに見てね」
「あば!」
「……久しぶりに来たな、ここ。最後に来たのは三年前か。懐かしいな」
「あばば……あば!? あば、あばばー!」
「シグ、静かに……って、瀬川先生だ」
「渡邊くん……来てたんですか」
「近所なので。先生は? もしかしてデートですか?」
「違いますよ。久しぶりに散歩でもしようかと思って……」
「散歩ってことは近くなんですか?」
「一駅分くらいですね」
「へえ」
「あーば。あばば!」
「うわっ。シグ、引っ張らないでよ」
「……あの、気のせいかもしれませんけど、もしかして私、それに嫌われてますか?」
「苦手意識はあるんじゃないですか? 少なくとも『それ』呼ばわりする人にはなつかないんじゃないかと」
「あばば!」
「……なんで宇宙人もどきに嫌われなきゃ……まあいいです。それじゃあ私はもう帰ります。また学校で」
「はい。さようなら」
「あーば、あばばば!」
「こらシグ、静かにしなさい。……うーん、先生も頑なだな。もっと柔軟に受け入れれば良いのに」
シグは瀬川先生のことが苦手。




