41,芸術の秋
最近、だんだん寒くなってきた。
「まだ肌寒いって感じだけど、もうそろそろ秋だね」
「あば」
「あ、そうだ。絵を描こう」
「あば!?」
「ほら、芸術の秋って言うじゃん。食欲の秋でもいいけど、今食べるもの何もないし」
「あばばー」
「それに僕、一応美術部だし。部活ではまったり過ごしてるだけだから、たまにはそれらしいこともしてみようかなと。まあ今は部活じゃなくて、ただの休日なんだけど」
「あ、あば。あばば、あば!」
「シグも描く? というか描けるの?」
「あば!」
「ああ、触手使うのか。ならちょっと待って。紙とペン……これでいいか。はい」
「あばば」
「さーて、と。なに描こうかなー」
「あばー、ば、ば……あば!」
「ん、シグ、もう描き始めるの? 早いね。…………そうだ」
「あばばー……」
「……」
「……」
「……よし、描けた」
「……あば!」
「シグも描けた? なに描いたの? ちょっと見せてみて」
「あば!」
「……これ、もしかして」
「あーば!」
「……僕か。なかなか上手だね。僕の顔なんて平凡を表したような感じなのに。目とか特に似てるよ」
「あばばー! あーば、ばあばば?」
「僕? 僕は……ほら」
「……あーば。あばば、あばばば?」
「ほら、覚えてない? 異世界にいた鬼さんだよ。オークだっけ?」
「あばば……」
「我ながら上手く描けたと思うよ」
「……」
「たまに、こういう化物の絵って描きたくなるよね」
「……あばー……」
「なんか投げやりな返事だね。なんで?」
シグは絵が描ける。そして結構上手い。




