36/78
36,体育祭―当日
体育祭当日。秋晴れの爽やかな青空。しかし僕は爽やかな気分になんてなれない。
「ああ、嫌だ。走りたくない……動きたくない……」
「お前は百メートル走と綱引きだけだからいいだろ。俺は騎馬戦とリレーもだぜ?」
「そう……頑張ってね、相澤くん。生きてたら応援するよ……」
「いや、たかが体育祭で死ぬわけねえだろ」
「……人生、何があるか分からないよ?」
「……変な友人に出会ったりとかな」
「変な友人? 誰のこと?」
「お前だよ! ったく……。そういや、お前んち、誰か見に来るのか? 俺んちは親が来るってうるさくってよー。別に来なくてもいいっつーの」
「僕はシグが来るよ」
「……そうか。親とかは?」
「来ないよ」
「まあ平日だし、仕事とかあるよな。俺の親なんてわざわざ休んでまで来るんだぜ? 仕事行けよ」
「へえ。相澤くんの家って親馬鹿なの?」
「そうなるのかね。こっちは恥ずかしくって堪ったもんじゃないけどな」
「ふうん。そういうのはよく分からないけど……。そろそろ百メートル走だから、召集場所行ってくる」
「おう、頑張れよー」
「死なない程度にはね……」
走っている途中に応援しているシグを見つけた。僕は二位だった。




