22,越える
新幹線で駅弁食べてるなう。
「あ、この卵焼き美味しい。シグも食べる?」
「あば。……あばば、あば!」
「美味しい? よかったね」
「あばば!」
「京都に着いたら、伏見稲荷大社に行って千本鳥居を見たいな。それから金閣寺に行って、あと祇園にも……」
「あーば、あばばば。あば!」
「シグも楽しみ? 明日は午前中観光したら午後から広島に行くよ。行きたいところは遠慮しないでね」
「あば」
「広島は、とりあえず原爆ドームと平和記念資料館に行こう。明後日の夜に新幹線で帰ろうね」
「あば。あばば!」
「お金なら大丈夫だよ。バイトで貯めたお金があるから」
「あばば?」
「あれ、言ってなかったっけ? 僕、バイトしてるよ。新聞配達の。早朝の仕事だから気付かなかったかな」
「あーば、あばば? あば!」
「……なんで僕は触手に頭を撫でられているんだろう。お疲れさま、ってことかな?」
「あば!」
「僕は別に大丈夫なんだけどね。まあ、いいや。ありがとう」
「あばば!」
「……あ。着いたみたいだよ。行こうか」
「あば」
「流石観光地。人がいっぱいいるね」
「あ、あば。あばばー……」
「はぐれないように気をつけてね」
「あば!」
「それにしても、やっぱりここでも僕達を怪訝そうに見てくる人達がいるね。なんでだろう」
「あばば、あばーばあばば……」
「ま、いいや。さて、ここが伏見稲荷大社だよ。そして今目の前にあるのが千本鳥居」
「あ、あばば……」
「いやあ、凄いね。引き込まれるよ」
「あばー……」
「よし、行ってみよう」
「あば。あばーばー……」
「おお、なんか、不思議な空間だな……。……うーん、こうしていると異世界にでも飛んでいきそうだな」
「あばば?」
「海外には行きたくないけど、異世界には行ってみたいかな。ロマンだよね」
「あばば……。あーば!」
「ん?」
「あばば! あーばーば、ばー!」
「え、ちょっと、シグ? なんで発光してるの? なんで宇宙人パワー使おうとしてるの?」
「あばばばばばー!」
「え、うわ……っ」
あまりの眩しさに閉じた目を開けると、さっきまであったおびただしい数の赤い鳥居はどこにもなかった。というか森の中だった。そして目の前には。
「……目の前には一つ目の角の生えた化け物って、もしかしなくても、異世界だよね」
「グォオオオァアアアアアアアア!!」
「あばばー!」
「シグ、泣かないで。刺激しちゃうでしょ。……あれ、もしかしていきなり絶体絶命?」
シグの宇宙人パワーは世界を越える。




