19,課題
待望の夏休み。僕は課題に追われていた。
「七月中に終わらせるのは無謀かもしれないと思えてきたよ」
「あ、あばば!」
「あっはっは。数学の参考書の範囲広すぎ」
「あばば!」
「古文漢文とかなんなんだよ。古文はともかく漢文にいたっては日本語ですらないよ。現代文も面倒くさい。著者の気持ちとか知らないよ。伝えたいこと? どうでもいいよ、そんなこと」
「あばーば! あばば、ばあばば!」
「……早く終われ。面倒くさい」
「あーば……あばば!」
「……ああ、無視してごめんね、シグ。悪いけどもう少し待っててね。とりあえずこのページをやったら休憩にするから」
「あばば……」
「えーと、三次方程式……あー面倒くさい」
「…………あば」
「……と、終わり。よーし休憩。シグ、おいで」
「あば!」
「今はシグが癒しだよ……。ひんやりしてて気持ちいい。夏は重宝するね」
「あばー? あばば!」
「今日が二十八日だから、あと三日……英語は終わらせたから今日明日で数学、残りは国語……」
さ」
「……あーば、あばば? あーばーば?」
「心配してくれてるの? ありがとう。シグはいい子だね」
「あばー……」
「大丈夫だよ、去年も同じ地獄を見たから。僕は大丈夫」
「あばば? あーば、あばばばあばば」
「大丈夫だって言ってるのに、シグは心配性だなあ」
シグは心配性ないい子だ。