第三話 ⑤
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「会長、お疲れ様でした」
「む。奏か」
放送を終え、会長が帰ってきた。
三谷はもう教室に戻ったようだ。
「会長サン……良かったのデスか?」
「何がだ?」
サンストーンさんが会長に問いかける。
「その……ぽんこつだって事、放送で言っちゃって……」
「本当は隠していたかったさ。だがな……」
会長は目を閉じて言う。
「ぽんこつはぽんこつなりに三谷の力になることができた。それでいいんだ」
「会長サン……」
「しかし、奏には悪いことをした」
会長は副会長の方を向く。
「奏。すまなかった。お前の助けで私はここまで来たのに……それを……」
会長はきっと、これまで隠してきたぽんこつを暴露したことで、それに協力してきた副会長を怒らせたのではないかと感じたのだろう。けれど……
「いいえ。良いのですよ……」
副会長は優しく言うと、会長の手を握った。
「それに、自分の名誉を簡単に捨ててまで人を助けたい。あなたがそんな風に考える人だから、私はあなたを支えてこれたのです」
会長は三谷を勇気づけるためだけに自分のコンプレックスを暴露した。
放送開始前、サンストーンさんが副会長になぜ会長が会長なのか聞いていた。それについての答えが、きっとこれなんだろう。
「会長」
「む」
君塚が会長に声をかけた。
「会長は、やっぱり一流だと思いますよ」
「そうだろうか」
「ええ。一流のぽんこつです」
少しおどけた調子で君塚が言った。
「ふ。それもいいかもな」
そんなこんなで、この一連の出来事は幕を閉じた。
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あれから数日。今日も君塚と共に昼食を取っている。
「会長、ぽんこつ暴露から支持率全く下がってないらしいよ」
「そう。それは良かったわ」
というか、親しみが持てるとか言ってむしろ上がっている。
「それはそうと須藤君。あなた彼女が二人いるの?」
「は?」
君塚の脈略のない話題に驚く。
「い、いるわけないだろ? 一人さえいないよ!」
「そうよね。須藤君だものね」
須藤君だものね、という言い方はいかがなものかと……
俺だっていつかは彼女出来るよ。きっと。
「それよりもさ! 会長、良かったよな!」
「会長は自分の本当の姿を皆に認めてもらえたのね」
「そうだな」
頷く。
「……」
「君塚……?」
君塚は箸を止め、俺の顔を真っ直ぐに見つめてきた。
「須藤君」
「な、なんだよ」
妙な緊張感だ。君塚、どうしたんだよ。
「もし、私の本当の姿が……そうね、悪魔だったとしたら、どうする?」
「あ、悪魔?」
なんだろう。これまでにないこの雰囲気は。
「じ、実は変身を二回残してる、とか?」
この空気に耐えられなくて、俺は少しおどけて言う。
「真面目に、答えてほしい」
真剣なまなざし、声も少し震えている。
「……」
「例え悪魔だとしても、君塚は君塚だよ。変わらない」
「……本当に?」
「本当だよ」
「……そう」
君塚は短くそう答えると、再び弁当を食べ始めた。
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